年間行事

□祭り〜3年生編〜
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定期演奏会も無事終わり、体育祭や文化祭に向けて活動を始めたとある土曜日のことだ。
この日、彼女達は部活をしに学校に足を運んだのだが、どう言ったわけか、現在、近くの神社の入り口にいた。
そこでは、天井には提灯がぶら下がり、沿道には屋台が連なっていた。今日は秋祭りなのだ。

「よしっ!! 遊ぶぞーっ!!」

理由は簡単だ。今にも遊びに行かんとする我が吹奏楽部部長、西村遥の思いつきのためだ。

「ちょっと待て。部活の息抜きに来ただけだからね。1時間って約束忘れんなよ」
「分かってるって。舞、花子っ! 行くよっ!!」
「おぉ〜」
「Huuu」

千波の静止を振り切り、遥を始め舞と花子は祭りの人ごみの中へと消えていった。

「じゃ、私も」
「ちょ、心愛まで」

そして、心愛も。
残された、千波・真由・咲良・由愛・琴乃はというと、

「どうしますか?」
「ほっとくわけには、いかないでしょ」
「はぁ…。疲れた…。そろそろ、戻ろっかな」
「早っ!! 来たばっかりだよ」
「人ごみムリ。それじゃ」

琴乃は部室に戻って行った。

「おいおいおい。本当に戻るのかよ」
「私たちは、行く? 遥たちほっとくとヤバイし」
「そうだね」

そして、千波・真由・咲良・由愛は祭り会場に突入していった。

「うおおぉぉりゃぁあっ!!」

が、すぐに後悔した。

「あ、遥すごーいっ!!」
「大回転っ!!」

千波たちが目にしたのは、金魚すくいの屋台の前に群がる人だかりと、その中心部にいる我が部員たちの姿だった。

「Huuuu。金魚、全然すくえない〜」
「花子、コツは腕を回転させながら一気にすくいあげることだよっ!!」

遥は、腕をブンブン振り回しながら実践して見せた。

「ほら、一気に5匹もすくえたよっ!!」
「Huuu」
「遥、すごーい」


「アレ、誰が止める?」
「私は無理だから、千波に任せた」
「えぇ。アタシも無理だって」
「じゃぁ、咲良か由愛ちゃんに頼む?」

「わぁ〜。遥ちゃんすごーい」
「うん。すごいねっ」

「「・・・・・・」」

「無理だね」
「無理でしょ?」
「はぁ・・・。仕方ない」
「よっ! 千波、頑張れー」


「一気に2匹すくえたっ!!」
「うぅ〜。破けちゃったよぉ〜」
「舞、ドンマイ」
「Huuu。アウピーくーんっ!!」
「花子、意味不明だから」


「遥っ!!」
「ん? あ、千波。遅いよ。何やってたの」
「お前らこそ何やってんだよ。人、集まってきてるんだけど」
「ほら、アタシってカリスマ性高いから」
「いや、それは、ない!」
「千波、ヒドイッ!!」
「いいから。店の人の迷惑になるだろ」
「ちぇーっ。よーし、花子、舞っ!! 次行くよっ!! あ、おじさーん。金魚は返すね。ウチじゃ飼えないし」

遥は、戦利品の金魚を全て屋台のおじさんに返した。

「ちょっとっ! 遥っ!!」

千波の静止を聞かず、遥は舞と花子を連れて先に行ってしまった。

「まったく…」
「ってかさ、心愛は?」
「心愛ちゃんなら、あっちの屋台で、かたぬきしてたよ」
「ここにきて、別行動かよ」
「心愛、すごく上手かったよ。かたぬき」
「いや、咲良。そんな情報はどうでもいいよ」
「あっ!!」
「え、由愛ちゃん。どうしたの!?」
「水風船があるよ」
「ヨーヨー釣りだね」
「え、由愛ちゃん。やりたいの?」
「うん。ダメ…かな?」
「いや、ダメじゃない。ダメじゃない」
「やったぁ。ありがとう。ナミちゃん」

そして、由愛たちはヨーヨー釣りを始めた。

「あ、赤い水風船が釣れたよっ!!」
「由愛ちゃん、上手」
「私も」
「咲良はピンクの水風船だね」
「うん」

そんなこんなで、1時間が過ぎ去った。
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