年間行事

□体育祭
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「えー、みなさんも知っての通り、もうすぐ体育祭ですね!! 去年までのアタシたちは、“吹奏楽部”という、特別ポジションに属していたため、体育祭参加は全面的に免除されていました!! で・す・がっ! なんと今年から、体育祭に参加しないといけなくなりました!!」

部長、遥の重大発表に部員たちは難色を示した。

「まぁ、その辺の詳しい説明は生徒会副会長の千波から、どぉぞっ!!」

遥に呼ばれ指揮台に上がった千波は、今回の経緯を語り始めた。

「まぁ、なんっつーか、体育祭は学校行事なんだから、吹奏楽部だけ参加しないのはどうなのか? って、体育科教師が言い出して。主に関とか関とか関とかなんだけど。それで、今年から部活対抗リレーって種目をやることにしたから、それだけでいいから、参加してほしいんだって」
「と、いうことで。アタシたちは今、まさに体育科を始め、運動部から宣戦布告されているわけなんだよ!! ここまで言われて黙っているわけにもいかないでしょ?」
「確かに」
「そうだ、そうだ」
「いいぞ、部長〜」

次々に遥を称える声が上がった。

「どうも、どうも。ってわけで。今から、その部活対抗リレーの選手決めを始めたいと思います」
「ちょ、遥、落ち着いて。まだアタシの説明終わってないから」

慌てて、千波が遥を止めた。

「で、えっと、各部2人以上5人以下の選手が必要で、ルールとしては、借り物競走をしながらのリレーなのね。まず、くじを引き、そこに書かれたものを借りられたら、次の人にタスキを渡していきます。これを5回繰り返します。そして、最初にゴールした部が優勝ってことになるから」
「はい、じゃぁ、全員グラウンドに集合ね」
「おい、遥」

千波の静止もむなしく、遥は我先にとグラウンドに駆けて行ってしまった。

「Huuuu」
「あ、遥待ってよ〜」

そして、花子と舞も。

「千波、ドンマイ」

真由だけが労いの言葉を掛けたものの、そのまま遥たちの後を追ってグラウンドに向かってしまった。


千波たちがグラウンドにつくと、先発隊たちはすでに準備運動を始めていた。
というか、彼女達これから50m走をして、タイムの早い人をリレー選手に抜擢する予定なのだが、どうやら制服で走るらしい。

「よーし、じゃぁ、チーム分けしよう。アタシたちは3×3×3でいいよね? で、そのグループの中で1番だった人がリレー選手ってことで、よろしく。で、宇津君たちは・・・男の子だから4人中2人出てくれない?」
「あ、はい。いいですけど…あのセンパイ、僕、生徒会の仕事があって、部活対抗のリレーには出れないんです」
「あ、アタシもだ」
「ちょっと、千波。さっきそんなこと言ってなかったじゃん!! アタシ、宇津君の走りに期待してたのに」
「ゴメン、忘れてた」
「ちょっとぉ〜」
「ってわけで、アタシと宇津君が審判やったげるね。さっさと、組み決めて」
「じゃぁ、名簿順とかでいい?」
「ま、いいんじゃね?」
「よし、決まったよ」

第1走者
・及川 咲良
・黒木 舞
・菅原 真由

第2走者
・西村 遥
・藤原 由愛
・前田 心愛

第3走者
・森 琴乃
・山崎 花子

第4走者
・小西 晴希
・永戸 蒼太
・古川 新

「なんか、すぐ決まりそうな組があるんだけど。特に第3走者とか」
「まぁ、それは、しかたないよ。じゃ、千波始めちゃって」
「はいはーい。それじゃ、最初の人、並んで」

咲良・舞・真由はスタートラインに並んだ。

「位置について、よぉーい、ドンッ!!」

千波の合図とともに3人は走りだした。
最初は順調に走りだしたものの、残り5mという所で、舞が何もない所でコケた。
そして、そのまま滑り込んで1着ゴールッ!!
さすが天然。やることがまた、すごい。

「うぅ〜。ころんだよぉ〜」
「舞、おめでとー」
「舞、すごかったよ」
「真由、咲良〜」
「はいはい。次がつっかえてるから、終わったい人はさっさと退く」

第2走者の、遥・由愛・心愛がスタートラインに並んだ。

「位置について、よぉーい、ドンッ!!」

千波の合図とともに遥は全力ダッシュを掛けた。
最初のスタートがよほど効いたのか、心愛と由愛にそこまで闘争心が無かったのかは不明だが、そのまま遥が1着でゴールした。

「やったぁ〜っ!!」
「おめでとう」
「遥ちゃん、すーごいっ!!」
「ありがとう〜」

そして、第3走者、琴乃と花子。これはまた、もうすでに勝負が決まっていそうだが…。

「位置について、よぉーい、ドンッ!!」

千波の合図で、勢いよく走る花子とは打って変わり、琴乃は早歩きをしていた。一応腕を振っているので走っているつもりなのだろう。が、花子がゴールするころ、まだ30メートル地点を歩いていた。

「ちょ、遅っ!!」
「もっと、やる気出せよ」
「宇津君。琴乃の今のタイムは?」
「あ、えっと…17秒56です」
「ちょ、50m走で17秒ってどんだけだよ」
「頑張った、頑張った。あれ、全力だから」
「はぁ。じゃぁ、ラスト。2年生対決ね。えっと、ビリ以外はリレー選手ってことでいいんだよね?」
「うん。期待してるよ、新」
「んぇっ!? 俺!?」
「じゃぁ、オレ、空気読みます」

その言葉通り、第4レースでは、晴希が見事な走りっぷりを見せ、蒼太が空気を読みわざと新の後でゴールを果たした。

「と、いうわけで。リレー選手はアタシと舞と花子と晴希と新ってことで、決定です」
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