年間行事

□文化祭
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後輩。それは、時にセンパイのオモチャとなり、時に下剋上を狙うものである。
それは、ココ港高校吹奏楽部、通称:MBB(港高校ブラスバンド)でも同じこと。

彼、小西晴希は、先ほど述べた前者として、ココに立っていた。

「センパイ、ぶっ殺す!!」

激しい闘志を燃やしながら。



コトの発端は2週間前にさかのぼる。

「皆、注目〜」

壇上に上がった我らが吹奏楽部部長、西村遥は黒板にデカデカと文字を書き始めた。

『文化祭の出し物・・・メイド喫茶!!』

「はい。と、いうわけで。アタシたち吹奏楽部は今年の文化祭ではメイド喫茶をやります!!」
「ちょっと待って。何勝手に決めてんの?」
「ってか、ウチら文化祭ではステージ発表もあるんだよ?」
「あ、メイド喫茶って言ったけど、執事とコスプレもいれるから、全部ひっくるめて、コスプレ喫茶ね」
「いや、そんなことは聞いてないから。副部長からも何か言ってやって」
「遥。ちょっと無理なんじゃない? ステージ発表でいっぱいいっぱいだし」
「えー、そんなことないよ。大丈夫! 何とかなるって!!」
「ならないって。ってか、アタシ生徒会もあるんだけど」
「はーい。じゃぁ、ココは公平に多数決をとりまーす。コスプレ喫茶やる人〜」

すかさず、舞と花子が手を挙げた。

「心愛もやらない?」
「んー? ステージ発表、手ぇぬいてもいいなら、やってもいい」
「うん。そんなの、吹いてるふりで全然OKだから」
「そ? じゃぁ、やる」
「よしっ!! 後は、由愛ちゃん。咲良。面白そうだよね?」
「うん。そうだね」
「でも、遥。大丈夫?」
「大丈夫だよ、咲良。アタシがいるんだから」
「そうだよね。大丈夫だよね」
「よし。これで、6人」
「ウチら、全員で13人いるから、過半数には達してないじゃん」
「そこら辺は〜。新」
「んぇっ!? 俺?」
「新もやるよね? ね?」
「う、うん」
「ほーら。これで7人だから、決定ね」

「新。オメー何やってんだよ」
「んぇっ!? だって…」
「オレ的にはこっちに被害がなければ何でもいいかな」
「まぁ、そうか。メイドだったら俺ら関係ねぇし」

「はーい。じゃぁ、配役を発表します」

そして、遥はまた黒板に文字を書き込み始めた。

【メイド】
由愛・咲良・晴希・蒼太・新
【執事】
遥・千波・真由・心愛
【ウエーター】
啓人
【コスプレ】
舞・花子・琴乃

「よし。こんな感じで」
「ちょ、何なんスか。この配役」
「え? どっかおかしい?」
「いや、何で俺や蒼太がメイドの欄に名前書かれてるんスか?」
「え、だって。似合いそうじゃん」
「そーゆー問題じゃなくて!!」
「後、面白そうだから」

ダメだこのセンパイ。何を言っても無駄だ。晴希はそう思った。

「にっちゃんっ!! あきらめちゃダメだよ」
「お、おぉ。――センパイ! 俺ら、センパイのオモチャじゃないんスけど」
「ん? 大丈夫だよ。オモチャだなんて思ってないから。可愛い弟だよ♪」
「うわー。弟=オモチャの方程式が見える」
「蒼太もか? 俺もだ。っつーか、なんで啓人だけウエーターなんスか?」
「宇津君は〜生徒会とかあるし〜っていうのは、タテマエで、なんか、宇津君にそんなことさせちゃいけない気がするんだよね」
「うわ。センパイが遠い目をしている」

「Huuu。遥〜。コスプレって何の?」
「今、アタシがハマってる涼宮ハ●ヒにしようかなって思ってるんだけど、どぉ?」
「良いと思うっっ!!」
「はい、そこで明らかに嫌そうな顔した、琴乃。琴乃は入口に座って本呼んでればいいから。そーゆーキャラにするから」
「・・・メンド」

「ちょ、センパイ!? まだ俺の話終わってないんッスけど」

「はーい、じゃぁ、アタシ衣裳の手配してくるね」
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