年間行事

□ハロウィン
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「よし、ハロウィンをしよう!」

また唐突に遥が言い出した。

「どうしたの? 急に」

それは、ここにいる全員が思ったことだ。

「アタシの人生目標は“年間行事を大切に”だから」
「いや、知らないし。そんなの」

そして、千波の的確な突っ込み。

「いいの。やるの。やりたいの!」

遥がダダをこね始めた。こうなったら誰にも止められないのだ。遥のやりたいようにやらせるしかない。

「はいはい。わかりました」
「やったっ!!」

ダダをこねる顔から満面の笑顔に変わった。

「じゃぁ、アタシ必要なモノ持ってくるね」

そして遥は走り去って行った。

「あ、おい! 遥っ!!」
「千波。諦めよう」
「真由…」

遥が走りだして、30分。どこからか、いや、演劇部の部室だと思うが、大量の衣裳と小道具を持ってきた。

「センパイ。今度は何おっぱじめる気ですか?」
「ん? ハロウィンだよ」
「ゲッ。また女装とかさせられんの嫌ですからね」
「だーいじょうぶ! 今回はナチュラルにハロウィンを楽しもうって会だから。ほら、晴希たちも好きな衣装選びなよ」

遥は大量に持っていた衣裳をずいっと晴希の前に差し出した。

「んーと。お、コレとか」
「晴希、良いもの見つけたのか?」
「じゃーん。海賊の衣裳だよな? こういうのなら俺好きだな」

「じゃぁ、晴希はそれにしなよ」
「マジッスか? いや、これは罠か?」
「罠じゃないって。今回は純粋にハロウィンを楽しもうって」
「本当にホントッスか?」
「ホントにホント! その証拠に吸血鬼とかジャックランタンとかハロウィンっぽい衣裳ばかりでしょ?」
「じゃぁ、まぁ、いいッスけど…」

口ではそう返事をしたものの、やはりどこか信じられないものがあるのだろう。

「いいなぁ〜。にっちゃん海賊の衣裳似合いそー」

蒼太のひと言で晴希の不安はぬぐいさられた。
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