□創立際
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**そして、創立際当日**

彼女たちは、早朝5:30に出航するカーフェリーに乗り、東大付属高等学校の校門前に来ていた。

「すっごっ!! エリート学校っ!!」
「Huuuuu」
「すごいねっ!!」
「はぁ・・・」


「お待たせ」

校門前に立っていると、背後から声がかかり、振り返るとそこには制服姿の南琉聖が立っていた。

「あ、琉聖君。こんにちはぁ〜」
「どうも。藤原嬢」

「すっごっ! すっごっ!!」
「すごいねぇ〜。大っきいねぇ〜」
「Huuuuu」

「・・・ところでアレは友人か?」
「うん。部長の遥ちゃんだよ。それに、舞ちゃんと花子ちゃん」
「あぁ・・・。なんか、旦那様が琴乃嬢たちだけに声かけたの分かる気がする…」

バシッ

突如、琉聖の頭の上に白い何かが降り注いだ。

「痛ってっ!!」

その方向を確認すると、携帯ハリセン片手に黒いほほ笑みを浮かべる藤咲蒼が立っていた。

「琉聖。本人を前に、失礼だよ」
「蒼っ! 痛ってぇだろっ!!」
「ご友人をお連れでしたか」
「連れてきたって言うか、連れてこられたって言うか」
「何だそれ」
「その辺は察して」

「琴乃、由愛ちゃん。その人達は誰? 知り合い?」
「はっ!! まさか、逆ナン!?」
「ホゥ!! そうなの?」
「舞、死ね」
「うぅ〜。死ねって言われた・・・」

「お初にお目にかかります。東大付属高校2年の藤咲蒼と申します」
「俺は南琉聖。ココの3年だ」
「へぇ〜。うん。蒼さんはエリート校生って感じ。あ、アタシ西村遥。後、花子と舞」
「黒木舞だよ」
「Huuu。山崎花子。よろしく〜」
「これは、ご丁寧に。よろしくお願いいたします」
「まぁ、よろしく」
「では、ご案内いたします。その前に、こちらが、創立際のパンフレットになっています」

蒼は、厚さ3pのパンフレットという名の文庫本を遥たち全員に配った。

「うわ〜。すごっ。何処から回ろっかな〜」
「遥ぁ。メイドカフェがあるよ」
「エリート校でもそうゆうことやるんだね」
「ホゥ!! アニメ研究会の研究発表見に行こ〜」
「あぁ、もうっ! 2人とも落ち着いてよ。端から見て回ろうよ」
「あー。それもいいけどな、西村嬢。ウチは1学年8クラスあるから、全部で24クラスあるんだ。だから、1日じゃ回りきれねぇと思うぞ」
「えぇ〜。そっかぁ〜。じゃぁ、オススメのクラスは!? そこから回ろうっ!!」
「うん」
「賛成〜」

「よろしいのですか? 話が先に進んでしまっていますが」
「ま、付き合いで来たようなものだし」
「と、おっしゃいますと?」
「あのジジ――田中さんが何考えてるか読めないうちは手探りで進まないといけないってことですよ」
「なるほど。それほど、気を張る必要はないと思いますよ」

蒼は、表情の読めないほほ笑みを琴乃に向けた。

「だから、読めないんだよ」
「? 何かおっしゃいましたか?」
「別に」
「琴ちゃん。遥ちゃんたち先に行っちゃったよ」
「はぁ・・・」

「琴乃、由愛ちゃんっ!! 早くっ!! まずは1年E組だよ。何か、賭博やってるんだって!!」
「早く行こ〜」
「早く〜」

「遥ちゃん。待ってよ〜」
「はぁ・・・」
「Eクラスは譲のクラスですね。確か、ラスベガスのカジノをイメージした出し物をしているとか」
「本当にお金かけてるんですか?」
「いえ、専用のコインを使います。ただ、そのコインも1枚1円で販売しています」
「それ、犯罪だから」
「厳司様が援助なさっている高校なので、なんの問題もありませんよ」
「なんで、田中さんが援助してると大丈夫なの?」
「どうせ、金と権力でもみ消してるんでしょ」
「田中さんってすごいね」
「・・・そうだね」
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