年間行事

□七夕
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「じゃ、書けた人から笹に飾ってね。ちなみに、アタシは家で書いてきました」
「おい、ずるいよ、部長」
「5枚も書いちゃった」

遥は家で書いてきたという短冊を笹にくくりつけ始めた。

『生徒会の実権をにぎれますように』
『天下がとれますように。ってか、取る』
『全人民がアタシに平伏しますように』
『世界征服ができますように』

「ちょっと、何そのお願い」
「え? いいでしょ? アタシっぽくて」
「いや、いや、いや。ただの危ない人だから」
「あ、ほら、出来た人から遠慮しないでね」
「じゃ、じゃぁ」
「あ、真由、できた? さぁ、どぉそどぉぞ」

『部屋がバナナでいっぱいになりますように』

「おぉ。真由らしくていいんじゃない?」
「あの、遥。私も書けたよ」
「いいよ。咲良もどんどん飾っちゃって」
「うん」

『ケーキが上手に焼けますように』

「いやぁ〜。咲良は可愛いね」
「ほんと。どっかの誰かさんとは大違い」
「だって。真由」
「えっ!! 私?」
「いや、遥のコトがから」
「えぇっ!! アタシ!? 何で!?」
「遥、出来たよ」
「あ、心愛もできた?」
「ん」

『打倒体育科』

「心愛、ナイスっ!!」
「でしょ?」
「ホゥ。出来た〜」
「あ、花子は何て書いたの?」

『カメ大好き』

「うん。意味不明」
「ま、もともとだからね」
「後書いてないのは?」
「あ、アタシ」
「私もまだ」
「千波と舞か〜。早くして」
「ちょ、まってよ」
「あ、できたよ」

『クールになる』

「うん。これもまた意味不明」
「えぇ〜。なんで〜?」
「いや、お前は天然だから」
「はっ!! そんなことないよっ!!」
「天然は天然っていうと怒るんだよ」
「お、怒ってないもん」
「あ、千波できた?」
「あぁっ!! 流されたっ!!」

『バズーカを使いこなす』

「おぉ。千波っぽい」
「ってかさ、さっきあんま深く考えなかったけど、遥4枚しか短冊飾って無くない? 5枚書いてきたんでしょ?」
「あー、そっか。じゃぁ、シメはアタシのラストの短冊ね」

『アタシ達吹奏楽部がずっと仲良しでいられますように。あ、あと楽器も上手くなりたいです』

「おぉ。さすが部長」
「頭が悪いだけじゃなかったんだね」
「なっ!! そんなこと言うと、ここに『千波以外』って付け足しちゃうからね」
「ちょ、ごめんって」
「さ、短冊も書き終わったトコでケーキ食べよ。部費で買ったんだ」
「ちょ、部費何に使ってるの!? ただでさえ少ないのに」
「えー、じゃぁ、千波は食べないの?」
「いや、買っちゃってるなら食べるけどさぁ」
「じゃぁ、いいじゃん」
「なんか、丸めこまれてるような気がするんだけど」
「気のせい、気のせい」

この後、遥たちは警備員さんが見回りに来る時間も忘れ、遅くまで騒いだ挙句、翌日職員室に呼びだされるのであった。

END
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