年間行事

□花火
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ホームセンターまではバスで10分ほどかかる。そして、そのバスは1時間に1本しかこないのだ。


そして、ホームセンター526

「よーし。花火買おーっ!!」
「絶対、線香花火は外せないよねっ!!」
「えー。打ち上げ花火がいいよ」
「っつーか、誰が火つけるんだよ」
「そのまえに、ちょっと聞きたいんだけど」

千波が花火を選ぶ手を止めた。

「どこで、花火やるの?」
「え? 言ってなかったっけ? 港公園だよ」
「公園!? 海じゃないの?」
「え? それを期待して聞いたんじゃないの?」
「いや、どこの海でやるのかを聞きたかったんだけど・・・」
「ざーんねんでした。やるのは港公園のデンデコドームの前でーす」

港公園のデンデコドームとは、海を見ながらのんびりできる公園で、基本、花火などは厳禁な場所である。

「いや、あそこ、花火やっていいの?」
「いいの、いいの。誰も来ないって」
「ホゥ。花火どれにする〜」
「いや、花子。ちょっと黙ってて」
「Huuuuu」
「大丈夫だって。ね? 花子。心愛」
「ホゥッ!!」
「んー? 大丈夫じゃね?」
「ほら〜」
「いや、この2人は常識ないから」
「大丈夫、大丈夫。さ、花火選ぼっ!!

それから遥達は、10000円近くもの花火を買い込んだ。
いや、どんだけやるつもりなんだか・・・。


そして、PM8:00

遥たちは港公園のデンデコドームの前に集まっていた。
言っておくが、彼女達は家に帰っていないため、制服姿だ。

「やー、ちょうどいい具合に暗くなってきたから、そろそろ始めよっか?」
「ホゥ!!」
「何からやる!?」
「とりあえず、打ち上げ花火で景気付けでしょ」
「ちょ、だから、誰が火つけるの?」
「え? 千波の担当でしょ?」
「嫌だからね」
「えー。じゃぁ、やりたい人いる?」

遥の呼びかけに手を挙げる者は誰もいなかった。

「仕方ないなぁ。じゃ、ここは多数決できめよう!! 千波が――」
「ストーップ。先に、遥がいい人〜。今、手あげとかないと自分に回ってくるよ」

遥の声を遮り、千波が他の部員を脅しにかかった。
そして、その威しに屈したモノが1人、2人、3人・・・
遥以外、全員だった。

「ほら、多数決の結果。遥に決定」
「えぇ〜。千波、ズルイよ」
「もう決まったの。ほら、チャッチャとやる」
「じゃぁ、千波に向けて打とう」
「それっ!! 人に向けないでくださいって書いてあるでしょ!?」
「アタシ、漢字読めない〜」
「おいっ!!」
「はぁ。私がやってあげるよ」

いたずらに打ち上げ花火を千波に向けていた遥から、真由が花火を奪い取った。

「え、真由がやってくれるの?」

真由は、遥の言葉を聞く前に、打ち上げ花火の導火線に火を点火した。

ヒュー パラパラパラ

少々、ヘボい花火が上がった。

「ヘボッ!!」
「ほらほら。手持ち花火もたくさんあるよ。どんどんやろっ!!」

遥は、1人1パック(100本入り)ずつ渡した。

「ちょ、コレ多すぎじゃない?」
「だって、部費が多かったから、つい♪」
「ついって。いくら使ったの!?」
「え、9875円だけど?」
「買いすぎ・・・」
「じゃぁ、千波と真由はやらないの?」
「いや、やりますけどね?」
「まぁ。買っちゃってるんでしょ? ってか、千波がついていながら、何やってるの」
「それは、ごめん。花子と心愛がプリクラ撮ろうとか言い出して、そのすきに遥が会計済ませてたんだもん」
「うわ・・・」

さすがに1人1パックは多すぎるということで、9人は2パックを分け合って、花火を始めた。
それは、ススキ花火に始まり、スパーク花火やナイアガラなど様々な花火に手を出した。
そして、その途中途中に打ち上げ花火を織り交ぜていたのだが、忘れないでほしい。ここは、公園なのだ。

「こらーっ!!」

どうやら、誰かに見つかってしまったらしい。
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