年間行事

□祭り〜2年生編〜
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「はぁ。ホンット子供なんだから」
「まぁ、紘都だしな」
「世話、掛けるな」
「いや。あれは昔からだし。慣れって言った方がいい。それに、高校入ってからは根本にまかせっきりだし」

「おーいっ! けーすけっ! 早くしろよーっ」

啓人と慶介が溜息をついているとは知らず、紘都は気楽なものだ。

「俺、イマイチ広島のつかみどころが分かんねぇんだよな」
「晴希」
「小西」
「「そんなものはないぞ」」
「あったら俺達、こんなに苦労してない」
「あぁ・・・そっか」
「それより、紘都。ほっとくと何するか分かんないぞ」
「あぁ。そうだな」

溜息をつきながら、啓人と慶介たちも紘都の後を追った。

「けーすけー。わたあめだってー。懐かしー」
「紘都。店の人の邪魔するなよ」
「邪魔なんかーしてないもーん。見てるだけー」
「見てるなら、買ってやれよ」
「俺、そんなモーンに使う金持ってなーし」
「はぁ・・・」
「けーすけー。買ってー」
「なんで俺が」
「いーじゃんかー。たまにはー部長をーねぎらえよー」
「労われるほど仕事してないだろ…」
「ふーんだ。ラッパ少年っ!! 次行くぞー」
「んぇ。待って」
「はぁ…」
「苦労かけるな」
「もう諦めたけどな」
「大変だな。啓人も根本も」
「うん、うん。お疲れ様」
「晴希、蒼太。本当にそう思ってるか?」
「いやだなぁ。思ってるよ。思ってるにきまってるじゃん。宇津ちゃん」
「思ってる、思ってる」
「絶対、思ってないな」
「あぁ。確実に」

「おーい。けーすけっ!」

沿道の先で紘都が慶介に手を振っていた。

「はぁ。また…」
「根本。ご指名だぞ」
「はいはい」

慶介はしぶしぶ、紘都の元へと小走りに向かった。

「根本ってさ、ホント面倒見いいよな。俺ならぜってぇ、途中で放り出す」
「うん。けーちゃんって面倒見良すぎるよ。自分のことよりオレたちのこと優先してくれるし」
「まぁ。紘都みたいなのが近くにいたら、嫌でも面倒見良くなるだろ」
「そんなもんか?」
「それは、そうかも。ほら、宇津ちゃんだって面倒見いいし。それって、ひーちゃんのおかげだよね。きっと」
「ふーん。っつーことは、だ。俺らって広島に感謝しなきゃいけねぇ感じか? 啓人が面倒見よくなけりゃ、俺らこうして祭りに来れなかったわけだし」
「あー、そっか。そうだね。なんか、あんま、釈然としないけど、一応、感謝しなきゃいけないのかな」
「そんな感謝しなくていいって」
「なんだよ、照れてんのか?」
「いや、そうじゃなくて。紘都に巻き込まれてこんな性格になったわけで、どっちかっていうと巻き込み事故だ」
「事故って…」
「まぁ、確かにそれはあるよね。だって、ひーちゃんだし」
「?」
「晴希も紘都と付き合ってくうちにだんだんとわかるさ」
「・・・いや、あんま分かりたくねぇけど」

「おーい。けーとー、なぁーっ、こにしー!! 早くー」

前方で紘都が叫んでいる。その隣には、ため息をついている慶介と、トンボを追いかけている新がいた。

「はぁ。ひーちゃんてば…」
「行くか? ご指名だし」
「あぁ。このまま根本に押し付けるのは悪いしな」

啓人・晴希・蒼太は紘都たちの方に向かって走り出した。


これから、長い付き合いになりそうだ・・・。

・・・FIN
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