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□うざやとerゲーとツンデレと。
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「やぁ、静ちゃん♪」

臨也は取り敢えず挨拶をしてみたが返事は返ってこなかった。

テーブルにノートパソコンが
置いてあり、静雄は
マウス片手に画面に
集中している。

ヘッドフォンをしていて、
パソコンからの音は
聞こえない。

「静ちゃんってば
俺を無視するなんて
良い度胸だなぁ♪」

臨也は機嫌良さそうに言った。

そう言うと臨也は
つかつかと静雄の方に
歩み寄り、
流れるような動きで
嫌がらせを実行。

ぶちっ。

パソコンからヘッドフォンを
引っこ抜く。

「な!?」

ようやく気付いた静雄が
驚愕の表情を
浮かべると同時に、
パソコンのスピーカーから
大音量で流れだす音声。

ら、らめぇぇぇぇ!
そんな激しくしたら
私のお●●●裂けちゃうぅぅぅぅ、あ、あ、あ、
キモチイイのおお!
ルーカスのお●ん●ん
とってもキモチいいのおおおおおお!
私の子宮の奥まで
届いて、しゅごいのぉ!
しゅごいのきちゃうう、
きちゃいましゅう!
オカシクなっちゃぅぅぅ!
ひゃあっ、なんかくりゅう
あっ、やっ、
あはぁんっ、イくうう、
イくッ、イッちゃううううううう〜〜〜〜〜〜〜っ!!


「うぉぉっ!」

静雄は慌ててパソコンの
ボリュームを落とす。

「なにすんだよバカ!」

顔を真っ赤にして
涙目で抗議する静雄に、

「そ、それは
こっちの台詞だよ」

珍しく顔を赤くして
臨也が言葉を返す。

「何て破廉恥なものを……!!」

と臨也は面白そうに
言う。

臨也はノートパソコンの
画面を覗き込む。

……画面には、
アニメみたいなタッチで
描かれた……………
全裸の美少と全裸の
男が、
そ、その……け、結合
している絵が表示されていた。

「静ちゃん…お前……」

「ちょ、見んなよ!」

静雄は慌ててパソコンを
閉じ、

「勘違いすんな!
これは………
俺はこんなゲームだと
知らず……
そうだ、これは芸術なんだ!」

「じゃあ、
それ声に出して読んでみてよ」

画面から目を逸らして
臨也が言った。

絶句する静雄は
にやりと笑う。

「いかがわしくない
純粋に芸術的な
物なら、
声に出して読んでも
全然恥ずかしくない
はずだよね??((ニコッ
だって芸術だから!
それともなに?
やはりそのゲームは
芸術じゃなくて
下劣で低俗で卑猥なだけの
作品なの??」

「そ、そんなことねぇよ!」

無茶なことを言う臨也に
静雄は反論する。

「ははっ、
じゃあ、読んでよ♪」

「ひ、卑猥じゃないが、
恥ずかしいものは
恥ずかしいだろ!
もちろんこの作品の内容
が恥ずかしい訳ではなく、
ただ人前で文章を
朗読するのが恥ずかしい
だけだ!!!」

「……そう。
じゃあ、
俺も読んであげるよ♪」

「はぁ?」

臨也がおかしな
提案をして静雄は
怪訝な顔をする。

「俺も朗読してあげる
って言うんだ。
だから、静ちゃんも読んでみせてよ。
自分一人だけが
読むわけではないのだから、
恥ずかしさもなくなるでしょ??
国語の時間に教科書
を順番に音読させられる
のと何も変わらない。」

「そ、それは……
そうかもしれないが」

……掛かった。((ニヤ

「俺がここまで譲歩して
やってるのに、
それでもなお逃げる
っていうなら、
やはりそのゲームは
芸術でもなんでもなくて、
静ちゃんはただの
淫乱なただの喧嘩人形。
きっとそのゲームのヒロイン
も定価一万円そこそこ
の安物ダッチワイフに
過ぎないんでしょ」

「せ、セシリアの
ことを悪く言うな!!
じゃあ、
お前もこそやっぱり
やめるなんて言うんじゃねぇぞ!?」

あーあ、
挑発に吊られた……。

「よし。
じゃあ、静ちゃんは
そのゲームのアレげな
シーンを朗読すればいい。
俺は
そうだなぁ……
国語の教科書に載ってる
中原中也の詩でも
読んでやるとしよう。
ああ恥ずかしい
恥ずかしい、人前で
詩を朗読するなんて」

「はぁ!?
ちょ、ちょっと待てよ!」

慌てる静雄に
臨也はしれっと、

「何か問題ある?
俺は国語の教科書に
載っている芸術的な文章を
読む。
静ちゃんはそのゲームの
芸術的な文章を読む。
条件はまったく同じ、
でしょ?
一緒に芸術的な文章を朗読
しようじゃないか。」

「………!〜〜〜ッ!」

ハメられたことに
気付いた静雄がわなわなと
唇を震わせ、
涙目で臨也を睨む。

「わ……わかった
読んでやろうじゃないか
『ブラスタ』の芸術的な文章を!
感動して泣くんじゃねぇぞ!」

……このゲーム『ブラスタ』

って言うんだ。

静雄はやけくそな感じで
パソコンに向き直り、
画面に表示されている
文章をエロいシーンの
最初まで戻した。

「よ、読むぞ……」

「……あぁ♪」

臨也の方も少し
緊張さた様子で頷いた。

「ううっ、
………ルーカスのお、お、
お……おち、おちん………………を、
わ、私のいやらしい……
お……お、お……おま…
言えるかバカあああああああああ━━━━━━っ!!」
ついに耐えきれなくなった
セシリアじゃなくて
静雄は乱暴に立ち上がり、
部屋の入り口と
脱兎の如く駆け出した。
扉を開けて
臨也の方に振り返り

「臨也のバカアホカス死ね━━━━━━ッ!!」

泣きながらまるで
小学生のような悪口
を叫び、そのままどこかへ
走っていってしまった。

臨也は無言で静雄の出ていった
扉を見つめる。

「……ねぇ。臨也。
さすがにやりすぎじゃないかな?」

途中から居たらしい
新羅が尋ねる。

「多少反省はしてる」

臨也が言うと、
珍しく頷いていた。

「……ところでさっきの
静ちゃんの朗読を
こっそり録音していたんだけど、
折角だしニコニコ動画とかに
アップするべきかな。
タイトルは
『現役男子高校生がerゲー
を声に出して読みながら
プレイしてみた』
とかで」

「臨也!お前は鬼か!」

「冗談だよ」

それから遠い目で、

「汚れちまった悲しみに
今日も小雪の降りかかる──
汚れちまった悲しみに
今日も風さえ吹きすぎる──……」

約束通り
中原中也の詩を暗唱
してみせる臨也だった。


end...
 

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