おお振り

□遠回しな言い訳
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「ねーねー、さかえぐちぃー」

「なんだよもう」

少し赤みがかった水谷の部屋。

さっきまでおとなしく雑誌を読んでいたはずのこの部屋の主がするりと腰に抱き着いてきた。

「あんね、あんね、俺肉まん食べたくなってきた」

にこにこと笑顔を振りまいて水谷は言った。

「あーそう。でも、もう夕方だよ?」

今からコンビニに買いに行くとしても、ちょっと馬鹿げてるような。
というか、まあ、二人きりでいる時間が少なくなってしまうのが嫌なだけなんだけど。

水谷には言ってやんないけど。

「うん、だからぁ、栄口が帰るときに一緒いく」

だってその方が長く一緒にいれるでしょ?

こっそりと。そんなことをお前が耳元に囁いてくるから。


思わず顔が赤くなったのは仕方ないと思う。


「コンビニまでだよ?」

苦し紛れにそういったってお前には効果が無いの知ってるけど、言ってしまう俺の気持ちもわかってほしい。

「うん」

へにゃり、とまるで犬みたいに笑う水谷が栄口顔真っ赤って指摘してくるもんだから夕日のせいだよって言って頭を一発殴ってやった。









遠回しな言い訳

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