おお振り
□log
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ほとんど会話文
「栄口大好きー」
「…うん」
「栄口は?」
「…うん///」
「もぉ、うんじゃなくてちゃんと言ってよー」
「……そ、そんなこと、言ったって…」
「ね、栄口」
「う…」
「栄口」
「う、お、俺も…大好き」
――――
「さっかえぐちー」
「うわ、なんだよ水谷」
「えへへ、大好きー」
「///っバカっ!なんだよいきなり!!」
「えー、言いたかっただけ―vv」
「…もー、そういうのは人のいないところで言えよ」
「わかってるって!!」
「…、ばか」
――――
水「ねー栄口ー!!いちごミルクいる??」
栄「あ、うん。水谷あんがとー」
ちゅー
泉「水谷―、俺にもくれ」
水「うん、いいよー」
栄「はい、泉」
泉「サンキュ」
ちゅー
泉「栄口の間接キッスゲット!!」
水「え…。ええっ!!まさか、それが目的で…」
泉「それ以外に何があるんだよバーロ」
栄「(したら…お、俺も水谷と間接キスじゃん///!!!)」
水「俺も栄口と間接チューしたいよー!!ねぇ、もう一回飲んで?(ウルウル)」
栄「っへ?!///」
泉「栄口大丈夫か?顔赤いぞ」
栄「う、うううううん!!!大丈夫、大丈夫ー。もう一回飲めばいいの?」
水「うんうん(キラキラ)」
ちゅー
栄「これでいい、の?」
水「うん!栄口あんがと!」
ちゅー
水「やったぁ!栄口と間接チューだぁー!!!!」
泉「直接じゃないところが流石ヘタレって感じだよな」
栄「ぇえ?!?///」
水「う、うるさいなぁ、もう///」
――――――――
「どうして別れてくれないの」
「それは、あっちが本命だから」
そう言うと、水谷は目を見開いた。
俺たち、このままじゃダメなんだよ。
好きでもない女の子と付き合ったのは俺たちの関係を誤魔化すため。
そして、俺が水谷に嫌われて振られるため。
発覚して、問い詰められるまで何も言わなかったのは水谷と少しでも長くいたいという俺の弱さ。
自分から言えないから、水谷から別れを切り出させるなんて
どこまで卑怯なの、俺。
でも、そうでもしないと離れられないから。
さんざん罵倒して、別れてください。
「…別れないから、俺」
今度は俺が目を見開く番だった。
目を見開く
(ほんとは俺だって)(お前とずっと一緒に居たいよ)
――――
↑の続き
「…別れないから、俺」
そう言うと君は信じられないという顔で目を見開いた。
「な、なんでそういうこと言うんだよ…」
苦々しいものを噛み潰したように栄口は呟いた。
俺はそんな栄口を見据える。
バカだよ栄口。
バカバカ。
そんな捨てないでっていう目をして別れを切り出さないでよ。
栄口が俺のためを思って言いたくもない言葉を言ってくれたのも、俺が栄口のためにそれを受け入れなければならないのも分かるけど。
今ここで別れてしまったら俺も栄口もダメになっちゃうって悟った。
これは勝手な俺の本能かもしれないし、唯の我が儘かもしんないけど、何となくそう感じた。
栄口のこと大切だけど、俺の傍から離れて欲しくないんだ。
ううん、離したくない。
「俺、一生栄口から離れないから」
栄口が嫌だって言ってもずっとずっと離れないから。
愛という名の拘束
(病気だと言われたって構わない)
--------
↑の続き
「俺、一生栄口から離れないから」
過去のその言葉のせいなのか、おかげなのか。
大学生になった今でも水谷は俺と一緒に日々を過ごしている。
「栄口ー、俺今日ケーキ買ってきたんだ!2人で食べよ?」
あまつさえ同棲までして。
「うん、」
ちゃんと笑えているかどうかさえも分からずに、ただ曖昧に返事を返す。
幸せ。
今、俺は幸せなのかな。
心の奥底で望んでいた生活。
なのに、なんでかな。
まだお前を、水谷をダメにしてるんじゃないかって思ってしまう自分がいるんだ。
「栄口」
ふわりと香る水谷のニオイと背中に感じる温かみに、抱きしめられたんだと理解した。
「悩まなくて、いいんだよ?俺ね、今すっごい幸せだから。上手く言えないけど、俺が今幸せなのは栄口のおかげなんだよ」
だから、と言いかけてうーんと唸った水谷の眉間に出来た皺を撫でてやる。
へにゃりと笑った顔につられてふ、と笑みを溢してしまう。
水谷は一瞬驚いた顔して今度は大輪の花を咲かす。
「笑って」
笑ってよ、栄口。
そう言ったお前の顔はひどく綺麗で。俺はここに存在する意味を知る。
手放す事が出来ぬまま時は流れ
(お前と離れるときまで)(せめてずっと笑顔でいよう)
お題配布元:愛死哀対