おお振り
□3(完結)
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心の中とか、そんなのわかんないけど
俺がしたいって思ってることが
君のしてほしいことなのかもしれない
だから俺は、それをやってみせるよ
「…水谷!?」
一組の教室のドアから見えた驚いた可愛い顔。
そして
巣山に背中を押され、駆け寄ってくる
俺の、大好きなヒト
「栄口…あの、さ」
照れくさくて、下を向きそうになる。
落ち着いてきたはずの心臓がまた騒ぎ出す。
きゅ、と唇を噛みしめて栄口を見据えた。
大丈夫、栄口は待っててくれてる。
俺が、誕生日おめでと、って言うのを。
息を吸ってはいた。
「た、誕生日おめでと…!!」
やっと声に出したと思ったら掠れてて、全然カッコよくなんてなくて、でも、誕生日じゃなくたっていつも緊張してるんだ。
初々しい恋人たちかって、そう突っ込みたくなるかのように甘酸っぱくて。こそばゆくて。
「あ、ありがと…」
そう返事をしてくれた栄口の声も少し掠れていた。
俺と同じで緊張しているのかもしれない。
なんか、そう思ったら笑えてきて。
俺だけじゃなかった、なんて。
「あは、あはは」
「な、何笑ってんだよ…」
「なんか、言ったら気が抜けちゃって…」
はてなマークは浮かべる栄口に笑いかけておいて、
俺のプランはここからだから
「今週の日曜、俺とデートしてくれませんか」
今週はそのことしか考えられない!
(栄口、プレゼントは何が欲しい?)(もう貰ったからいらないよ)