おお振り

□Sweet and ambiguous air
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最近すごく気になることがある…
それは今、俺の回りを漂っている…


『空気…』

『え?俺してないよ?』


隣で浜田が一生懸命言い訳をしているが別にお前が悪臭を漂わせたなんて言ってない。
この甘ったるい空気の正体は…


【Sweet and ambiguous air】


昼休み屋上で浜田と二人弁当を食べていたんだ。


『あれぇ?栄口と水谷だ。二人もお昼?』

『はい。お二人もですか?』


一見なんの変哲も無く会話をして、目の前の二人は迷うことなく俺たちの前に座った。

二人は弁当を広げて仲良く頂きますをして箸を動かしたんだけど…問題はその中身…


『あれ?中身一緒じゃない?』


浜田も気になったんだろう。


『そうなの〜今日はさかえぐちがお弁当を作ってくれたんだぁ〜』


ね?って栄口の顔を見る水谷は最高にふにゃふにゃしている。
その顔に栄口は穏やかな笑顔をして目で返事をしているみたいだ…


『へぇ〜栄口の手作り?』

『そうなんだぁ〜中でもこの卵焼きなんか最高でさぁ〜』


箸で摘まんで浜田に見せびらかして…


『もっもうっ水谷ってば〜恥ずかしいからやめてよ〜』

『だってホントの事だも〜ん〜』

『そんな事言うともう作ってあげないよっ!』

『え〜やだやだ〜』


そんな事言って栄口がプイッと膨れると水谷が慌てて栄口に抱きつきながらわめいている…


いつもこうなんだよ…
こいつらはナチュナルにイチャつきよってからに…まるで…


すると浜田がコソッと『なぁこいつら付き合ってんの?』なんて聞いてきた。
そんなの俺が聞きたい…
前に半分冗談(半分本気)で聞いた事がある…その時は二人してキョトンとした顔して…『『まさかぁ〜』』てハモりやがった。
そん時は棒アイスの回し食いをしてたんだよな…こいつら…
棒アイスだぜ?
普通のアイスならともかく…
俺だったら他人がベロベロに舐めたやつなんか食いたくない…
まぁ…田島も気にしなそうだけどなんか違うんだよ…
とにかく甘いんだ、こいつらの回りが…
空気そのものが…


『ねーさかえぐちぃ〜卵焼きも一個食べたい!』

『え〜そしたら俺のなくなるじゃんかぁ〜』

『え〜だめぇ?』

『もうしょうがないなぁ…ほらっ』


目の前では水谷が栄口の卵焼きをねだり、仕方なく…でもまんざらでもなく自分の箸で摘まんで水谷の口元に…


『やっぱおいし〜さかえぐちの卵焼きは世界一だねぇ〜』

『も〜大袈裟だなぁ〜』


ちょっとまてーっ!
普通は弁当箱に置いてやるかもしくは自分で取らせるだろー!!


目の前で見せられた俗に言う『あーん』ってやつ…


『あっ水谷?こっちも食べる?』

『え?いいのぉ〜?』


再びなされる『あ〜ん…』ちらっと横の浜田を見ると口を開けっぱなしでふたりを眼見していた。


そして…


『あのさ…お前等って…』


付き合ってるの?と浜田がおそるおそる聞いた…
するとまたキョトンとした顔をしてふたりで顔を見合わせてから…


『『まっさかぁ〜』』


と…ハモった…


『付き合ってんのだって〜変なの〜』

『なに言ってんだろうね〜浜田さんは〜』


ふわふわ笑うふたりを見て浜田は首がギギギと鳴るんじゃないかと思う様な動きでゆっくりと俺を見た。


『俺が…変なの?』


いや…お前は変じゃないぞ…浜田…


『ねーねー今日さかえぐちのうちに泊まりに行っていい?また一緒に寝よ〜』

『やだよ〜お前変なとこ触るもん』


ぶはーっ!
俺は飲んでいたお茶を吹きそうになった…

そんな俺にも目もくれず会話している二人に…


もうさ…お前等付き合っちまえよーっ!!


心の中でそう叫んだ…





おわり
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