デュラ小説
□儚くて儚くて
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ねー、花火しようよ。
いつも我が儘しか吐かない口から出された言葉に、正臣は思わず、はい…?と返した。
「花火…ですか?」
「うん、そうだよ。」
「なんでまた…。」
何でって…。したいから。
おおよそちゃんとした答えになっていない答えを臨也は返した。
まだ空がほんのり赤く染まっている時間帯。子供達がそろそろ帰ろうと支度を始める頃。2人の影が、河原へと向かっていた。
「臨也さん…。本当にやるんですか?」
「うん。」
「子供達が不審そうに見ていますけど。」
「やるよー。」
子供が見るのも無理がない。大の大人の男が沢山花火の入った袋を持って、きゃっきゃとハシャいでいるのだから。
そんな臨也から数歩離れた所を歩いていた正臣はふと空を見上げた。
今夜も冷えそうだな…
そんな事を考えながら前にいる臨也に視線を戻すと、もうずっと遠くにいて此方に手を振っていた。くすり、と正臣は笑みをこぼすと大地を蹴った。
「あれー、この蝋燭つかないよ?」
「ちょ、臨也さん!危ないですってば!!」
煙が上がっている蝋燭の先端に指を押し付けようとしていた臨也の腕を正臣は寸での所で掴んだ。