DetectiveConan

□A crime of conscience
2ページ/3ページ


ドンッ‥‥‥‥








なんなんだ?この状況‥‥‥‥

いきなり起こったその出来事に頭は追い付いていかなかった。

目の前には今まで密かに想っていた相手であり、普段変に思われたくなくて必死に感情を表に出さないで繕っていた人でもあった。


「「‥‥‥‥‥」」


2人の間に長いようで短い沈黙が流れる。
その沈黙を破ったのは新一だった。


「…おぃ、何してんだよ、お前。」

「‥‥‥‥‥‥‥まぁ、新一を押し倒してみたところ‥‥‥かな?」


そんなことを言いつつも何気笑顔な快斗。


「いや、押し倒されてんのは分かってっけど、」


何で押し倒してんだよ‥‥‥

その言葉は出てこず喉の奥に呑み込んだ。
さっきまで、フツーに酒を飲んでいたのに今は床に組み敷かれ腕を捕まれて自由を奪われたいた。

何を考えてんだコイツ‥‥‥なんて思いながら見上げたら、何か余裕大有りだね、なんて苦笑混じりに言われる。

余裕なんてあるわけない。

ずっと好きで気持ちを隠し通してきた相手に押し倒されているのだから。

今だって、余裕は全くもってない。
心臓はバクバクと鼓動を刻み、この気持ちがバレるんじゃないかとヒヤヒヤしているというのに。

それに、相手とはこんな間柄でもないから余計‥‥‥‥きっと酒にでも酔ったからだろうと。

そう思うと何処か胸が苦しくて‥‥‥‥、今にも壊れそうで‥‥‥‥‥、

そんなことを考えている間も腕は捕まれていて、快斗は苦笑を浮かべたまま言った。


「ねぇ、俺は心臓バクバクなのにな〜。新一はそうじゃないの‥‥‥?」

「‥‥はぃ?てか、重い。」

「ひどっ」


今のは聞き間違え?
快斗が心臓バクバク?


「ひどっ、じゃねぇだろ。つーか、いつまで押し倒してんだよ‥‥‥」

「あ、ダメ?」


少し上目に見えた快斗の視線。


「‥‥‥‥」


ダメ?じゃねーだろうが。
コイツの方が余裕あんじゃねーかよ‥‥‥
その整った顔を眺めながら考えた。


「いいからどけろ」

「やだよ」

「じゃぁ、何で乗ってるか言えよ。」

「‥‥‥んー‥‥好きだから?」

「‥‥‥‥‥‥‥っ?」


何を言ってんだコイツ。
好き?マジで言ってる?俺の幻聴?
夢か?なら目覚めないままで、、、
あ、ヤベ、酔ったかな‥‥‥‥ん、酒飲み過ぎた。。。


「おーぃ、新一さぁーん??」

「‥‥‥‥‥」

「新一ぃ〜?俺、真面目に言ったのに。」

「へ?」

「へ?じゃなくて、好きだから押し倒したんですけど。」


物凄く、予想していなかったその言葉。
驚きが大きくて、嘘だと思いながら目を見開いて見つめ返すと快斗は可愛いね、なんて言いつつもそんな驚くことだったかな〜とか照れて笑いながら言っている。

そりゃ驚くに決まってる。
男同士である以前に、只の友人だと思われていると思っていたのだから。

ほんの数センチという小さな距離。
肌が触れそうなくらい近い距離で、お互いの呼吸が聞こえる。
‥‥‥‥心臓が割れそうなくらいバクバク言ってる。

快斗は目を逸らさない。
じーっと見てくるから目が離なすことが許されない。
何を言えばいいのかも全く頭も働かない。
普段はそうでもないはずなのに、


「まさかで来てくれたから俺の気持ち分かってると思ってたんだけど‥‥‥」


失敗した?と目に書いてある。

時間はすでに夜の11時を過ぎていてどちらかといえばもう12時に近い。
迎えに呼び出されたのは10時半をとっくに過ぎていたけど来たのは好きだからで、会いたいと思ったからだ。


「え?まじ‥‥」


「マジ。好きでもない男、押し倒してどうするんですか?」

ニヤリと快斗が笑う。

「〜〜〜〜っ」

「俺のこと嫌い?ま、嫌いならしょうがないか‥‥‥な。」


コイツ、分かっててやってる‥‥‥
俺の気持ち分かってて‥‥‥


「どうします?新一さん。俺はいらないですか?」

「ぃ‥‥‥‥く‥‥‥なぃ」

「ん?」

「だから〜〜〜っ‥‥‥‥‥‥る」

「何て?あ、俺のこと好きでもありません?」


ニヤニヤと笑う顔はいつの間にか目の前にあって、額にこつんとくっついていた。


「…っ、いるし、好きだからっ!」

「やっと言った!それにしても、耳まで真っ赤だね〜、新一」

「………っさい!」


気付けば抑えつけられていた手は解かれていて、快斗の左手が新一の顔に添えられていて‥‥‥


「じゃ、今日から新一は俺のだからよろしく」


と言って暫く視界が暗くなり唇を塞がれた。


「ん‥‥‥ッ」

「お〜、すげぇ真っ赤っか〜♪可愛い〜っ!」

「っ‥‥‥ほっとけっ!」

「え〜〜〜、ほっとけない。」


クスクスと笑いながらぎゅーーーっと快斗に抱き締められて、快斗の心臓の音が聞こえて‥‥‥
快斗もドキドキしていたんだと思った。
それが何か嬉しい。
そしてまた口付けがおとされる。
結局新一は、もう余裕なんて繕えなくなって快斗の背中に手を回した。











End.




.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ