rainy rainy
□其ノ終。
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水面にゆらゆらと揺れる向日葵の花が、木漏れ日の下に見えた。
女は結局数日探し回りビニールハウス産の向日葵を手に入れ、冬の川に浮かべたのだった。
(陽射しを浴びずに育った花なんて、皮肉にとられちゃうかしら)
それでも、彼女は向日葵を選んだ。
二人が仰いだ先に見える、太陽に見立てた花。不器用で、痛くて、女は苦笑を漏らした。
生前あの少年と少女が二人で見れなかった太陽を、せめて、死後であっても其の頭上に置いてあげたかった。
しかし、何をしても自分は恨まれることを、彼女は理解している。其の手で、二人を殺してしまったのだから。
でも、此れで此の仕事には終止符が打てる。
「――お幸せに」
彼らにかける言葉としては酷く間違っていたとしても、其れが女の素直な気持ちであった。
狂ってる、そんな声が聞こえた気がして、女は再び苦笑した。
木漏れ日の中、川に沿って女は歩き去る。
あとはやはり、安眠を祈ること。
"何時か、二人で並んで、雨の降ってない空を眺めたい"
そして、切に彼らの次の幸福を祈るばかりだった。
Fin