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□至福は刹那の中に輝き、消えゆく。
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私が真剣に問ふと
貴女は楽しさうに答へられました
それは茶化しであり、私は其の儘享受することが出来ません

けれど、お気になさらずに
私がいくら血を吐かうとも
貴女が楽しければ、幸せであるならば
此の身が崩れるまで、此の遊びにお付き合い致しませう

私が劔を以て挑むでも
貴女は逆手の小指で撫でるだけ
其れでも私は、貴女を想ふのです

私と云ふ駒に飽きたなら
貴女は私を盤外に放るでせう
指し手様は其処に並ぶ駒たちから
次の駒を摘むで盤上に置きます

ひとつ、ときにはふたつ
飽きれば同じやうに捨ててゆく駒に
其のときだけの言葉を囁いて

甘い甘い、遊戯の時間

私はそんな駒のひとつでしかありません
悲しみ? いえ、此処に在るのは貴女の微笑、欠伸、そして僅かな駒の感情だけ
申し上げた筈です
貴女の為なら、私は遊びの中に滅びても構いません、と
だから今だけでも好いのです
微笑を湛へる、其の御顔をお見せ下さい

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