diletto angelo
□episodeU
2ページ/6ページ
「ボス・・・その娘は何ですか?」
皆の一番聞きたかった事を、レヴィが尋ねると、このカスボスは、サラリととんでもねー事を口走った。
「拾った」
『はあ!?!?』
「うるせぇな。とりあえず、コイツはこれからここに住む。面倒見てやれ」
あまりの展開に、全員が絶句してそのガキを見る。
ガキはその視線にビビり、遂に泣き出した。
しかし、そんな状況を無視して、ボスは立ち上がった。
「報告は以上だ。俺は寝る」
そう言うと、ボスはガキを置いてそのまま部屋を出て行った。
「・・・・・・で、どうすんの?」
「俺が知るかぁ」
ベルに聞かれ、俺は不機嫌に答えた。
あんな説明で、俺達にどうしろというのだ。
第一、『拾った』って何だ。
『拾った』って。
どこでこんなガキ拾ってきやがったんだ。
あのボスがこんななよっちぃガキに興味を持つなど、あり得ねぇ。
だがしかし、人は見かけで判断出来ねぇしな。
俺は見定めるように、じっとガキを見つめる。
すると、ガキは息を飲んで、慌ててソファーの影に隠れた。
・・・・・・・・・・・・ダメだ。
どう見ても強いようには見えねぇ・・・・・・。
ボスの意図が全く分からず、俺は頭を抱えたくなった。
すると、ルッスーリアがそのガキに近付いた。
「初めまして。私はルッスーリアよ。ルッス姐さんって呼んでねぇ。これからよろしくねん♪」
そう言って、ルッスーリアはソファーを挟んで、自己紹介をした。
しかし、ガキは怖がって震えたままだ。
「ルッスーリアセンパーイ、怖がってますよー。いきなりオカマは刺激が強過ぎですー」
「まっ!どういう意味よフラン?」
「そのまんまの意味ですー」
いつもの毒舌を従えて、今度はフランが声を上げた。
「見た目は怪しいですけど、根は良い人ですよー。ミーはフランですー」
気の抜けた声を上げながら、フランがガキに近付く。
すると、ガキが初めて怯え以外の感情を表に表した。
「・・・・・・カエル」
フランの被り物を見て、ガキがぼそりと呟いた。
「あ、これですかー?好きで被ってるわけじゃないんですけどー、センパイ達がつけろってうるさいんですよー。興味ありますかー?」
フランの問いかけに、コクンと素直に頷く。
フランは頭からカエルを外すと、ガキの目の前に差し出した。
ガキは恐る恐るそれを手に取って、まじまじと眺めた後、微かに笑った。
「・・・かわいい・・・・・・」
『!!』
不覚にも、ドキッとしてしまった。
突然笑うから、驚いた。
・・・こんな顔も出来るんじゃねぇかぁ。
そう思ったのは俺だけではなかったようで、皆口々に声を上げる。
「やだ、笑うともっと可愛いわぁ」
「ミー初めてこの被り物があって良かったと思いましたー」
「へぇ・・・。良く見たら、なかなか上玉じゃん」
「・・・・・・よ、妖艶だ・・・」
カエルがすっかり気に入ったのか、ガキは表情を柔らかくして、カエルを眺めている。
「そんなんより、王子がもっといいもんやるぜ?」
→