diletto angelo

□episodeU
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今度はベルが近付く。
ベルは懐から、自分の頭の上にあるティアラと同じものを取り出した。

・・・・・・アイツ、ナイフだけじゃなく、ティアラの予備まで持ち歩いてやがんのか?

俺が呆れていると、ベルはそいつの頭に、ちょこんとティアラを乗せた。


「ししっ。似合ってんぜ?王子の次にだけどな」

「・・・おーじ・・・?」

「そ。俺、王子だから」

「ベルセンパーイ、いたいけな少女に嘘つかないで下さいよー」

「嘘なんてついてねーよ」

「こらっ。喧嘩はやめなさい」


ベルがナイフを取り出すが、ルッスーリアに止められ、ベルは不満そうに舌打ちをした。


「ごめんねー?怖かった?」


ルッスーリアがそう言うと、ガキはふるふると首を横に振った。


「なぁ、お前、名前なんてーの?」


ベルがルッスーリアを押しのけて尋ねると、ガキは小さな声で答えた。





「・・・エミリア」





「エミリア、ね。俺はベルフェゴール。ベルか王子って呼べ」

「ベル・・・?」

「センパイだけズルいですー。エミリア、ミーの事も呼んで下さーい」

「フ、フラン・・・」

「じゃ、今度は私ね」

「ルッスー・・・・・・ルッスねぇ・・・」

「ああん!!可愛い!!姐さんじゃなくって、『さん』抜きって所が、めちゃくちゃ可愛いわっ!!」

「ふぁ!!」


突然ルッスーリアに抱き締められて、エミリア(・・・だっけか?)はおどおどしていた。
ベルがそれを引っ剥がすと、エミリアはホッと安堵している。


「お、俺はレヴィ・ア・タンだ!」


今度はレヴィがズイッと一歩前へ出た。
しかし、エミリアはサッとベルの後ろに隠れた。


「エミリア?どうした?」

「・・・怖い、人・・・」


どうやら、レヴィを怖がっているらしい。
まぁ、厳つい顔してるし、デケェし、ピアスだらけだもんな。(・・・・・・コイツ、怖い要素しかなくね?なのに弱ェし・・・)


「ダッセー怖がられてやんの」

「レヴィセンパイの変態さを、本能的に感じ取ったんですかねー。エミリアって、結構人を見る目ありますー」

「なぬっ!?」

「・・・っ・・・怖い・・・」


カスが・・・。
余計怖がらせてどーすんだ。


「んもうっ!!レヴィ、怖がらせちゃダメじゃない。エミリアちゃん、大丈夫よー。こんな奴だけど、一応私達の仲間だから」

「ほんと・・・?」


ルッスーリアがフォローすると、エミリアはレヴィを見つめた。


「な、なんだっ!!」


何赤くなってやがんだ・・・。
相変わらず変態な野郎だぜ・・・。
エミリアは不思議そうにレヴィを見つめる。


「名前・・・もう一回言って・・・?」

「レヴィ・ア・タンだ」





「・・・れぶぃ・・・・・・レヴィたん・・・?」





『ぶはっ!!!!』


エミリアの一言に、俺達は思わず吹き出してしまった。


「うしししっ!!に、似合わなさ過ぎだしっ!!」

「キャラ違い過ぎですー」

「ぶふっ!!やべぇ、笑いが止まんねーぞぉ!!」

「エミリアちゃん、それはないわよー!!」

「き、貴様ら!!笑い過ぎだっ!!」

「・・・?」


エミリアはなぜ笑われているのか分からないようで、ポカンと俺達を見ている。
俺は一通り笑うと、エミリアを見た。


「うぉい!!気に入ったぜぇ。ボスがどういうつもりでお前を連れてきたのか知らねぇが、面倒見てやる!」


俺がそう言うと、エミリアは嬉しそうに笑った。






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