diletto angelo
□episodeV
4ページ/5ページ
その言葉に、俺は、コイツを見つけた時の事を思い出した。
あの様子から、きっと酷い扱いを受けていた事は容易に察しがつく。
コイツは、マフィアが嫌いなのだろう。
だから、拾われた相手もマフィアだった事に、少なからずショックを受けているに違いねぇ。
「お前は俺達が嫌いか?」
不意に口から零れ落ちた言葉に、俺自身驚いた。
これでは、俺はコイツに嫌われたくねぇみたいじゃねぇか。
大体、コイツを拾った事自体が、もう既に俺が俺に驚いている。
俺らしくねぇ。
その一言につきる。
「・・・私、マフィアは嫌い」
ガキの言葉に、俺はただ、そうか、と、頷いた。
「でも・・・ザンザスやみんなは・・・・・・・・・嫌いじゃない・・・」
予想外の発言に、俺はソイツの目を見た。
「ねぇ・・・。私・・・ここに居ていい・・・?」
マリンブルーの澄んだ瞳は、とても綺麗だった。
「・・・・・・・・・好きにしろ、カスが」
俺の言葉に、カスは嬉しそうに笑った。
「これからよろしくね。ボス・・・」
「ザンザス」
「?」
「俺の名前は『ボス』じゃなくて『ザンザス』だ」
そう伝えると、ガキはキョトンとした後、
「うん。・・・・・・じゃあ、私の事も、カスじゃなくて、エミリアって呼んで」
と、フワリと柔らかく笑った。
その笑顔を見て、俺はフッと笑った。
「気が向いたらな」
嫌いじゃない
→あとがき