◆ファンタジー
□野外実習2日目@
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第2話 −野外実習2日目−
野外実習二日目の朝、物音で目が覚めた。
誰かもう起きたのか…?
頭だけ動かして左右を見るが、さくらもしず子もまだスヤスヤと寝息を立てている。
枕元に置いていた懐中時計で時間を確認すると、まだ朝の5時過ぎだった。
起床の予定時間より少し早い。
が、一度目が覚めたらこれ以上眠る気はしない。
二人を起こさないよう注意して、そっとテントから出た。
朝日を浴びて、森の空気を吸い込む。
今は夏なのにどこか冷たくて爽やかな匂い…。頭が冴えていくようだ。
軽く体を動かしてから、ぐっと伸びをした。
ガサッ
…やはり物音がする。
敵か…?
腰に下げてる剣に触れながら物音のする方にゆっくり近付く。
万が一何かあった場合の事を考えながら、気を張り詰める。
そこにいたのは……
「あれ〜?会長おはぁ〜…よぉ〜〜〜…あふ。」
…低血圧丸出しな碓氷だった。
美咲は緊張を解き、張り詰めていた息を吐いた。
「はぁ…。あぁ、おはよう。お前こんな朝早くから何やってるんだ?まだ半分寝てるだろ。」
「ふぁぁぁ〜〜…ぁ…。水をね…集めてるの…。」
「水?どこに?」
「ん?ここにあるでしょ。」
ほら、ここ。と碓氷が指差す場所には人の顔ほどもある大きな葉。
その葉の窪んだ部分に朝露が溜まっている。
葉を少し傾けると溜まっていた朝露が流れ落ちる。
それを水袋に流し入れていた。
「朝露?川の水の方が集めるの楽じゃないか。」
「この朝露は気力回復の効果があるんだ。」
「へぇ…。朝露じゃないと駄目なのか?」
「効果が高いのは朝露だね。特にこの葉に溜まっているのが良いんだ。この葉は精霊が好んで眠りにくる場所だから。」
…碓氷のこの知識はどこからくるのだろう。
精霊が好む場所というのはいくつか知られている。
木の枝だったり、川の中にある岩だったり、鳥の巣だったり、、、、稀に人家という事もあるそうだ。
精霊が好む場所は何らかしらの力が宿る。
微弱な力から、強大な力まで。
精霊の強大な力は人体に影響が出てしまう恐れがる。
この葉に集まった朝露の効果が『気力回復』なら、微弱〜弱の内に入るだろう。人体にも影響は無いはずだ。
皆にこれを飲んで貰って、今日も一日頑張れればと思う。
「そうなのか…。私も集めるの手伝うよ。」
二人で水袋に朝露を集め始めた。
*