◆ファンタジー

□野外実習2日目B
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月が蒼く光り、森には闇が広がっている。
森に住む者達は息を潜め、訪れる夜という眠りに落ちようとしていた。


そんな中、一組の男女が絡まりあっている。
女が男の上に覆い被さり、馬乗り状態になっていた。

「…鮎沢。」

「何だ碓氷…、降参か?」

女…美咲は上気した顔で、男…碓氷を見下ろした。
美咲の口元はニヤリと歪む。

「今のこの状況を見られたら…、誤解されるよね。」

「この状態で何を誤解されるって言うんだ…っ。」

二人共に吐く息は荒い。
額に汗が滲んでいる。

美咲の握る手が熱い。
それを見ている碓氷の目は冷えている。

二人の視線が絡まる。

「…っ、くそっ!!」


美咲が碓氷の手を擦り抜ける様に外す。
美咲が右手に握っていた剣を持ち直し、流れるように空中で一回転させ地面に突き刺した。
突き刺したその直ぐ横は…、碓氷の首元。

「っつ…。…少し切れたんじゃない?流石に恐かったよ…。」

「余裕があるな、碓氷。私はお前の口から『降参』という言葉が聞きたいのだが。」

美咲は剣を首元に押し当てる。
血が薄く滲んできた。

「降参………………

 しないよ。」









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