創作
□あおぞら六重奏〜解放!さあ飛び立とう!〜
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「えっへへ…キョータ、キョータ!」
「ん?」
怒気を放つ祥生の存在には気づいていないのか。
京太郎の肩から背中に腕を巻き付けたまま、静弥は嬉しそうに彼の愛称を連呼する。
そんな異性の幼馴染を平然と受け止める京太郎。
彼もまた、彼女の腰と背中へ腕を回して抱きしめ返す。
「やった、やったよ!赤点じゃなかった!」
「良かったな。全教科返ってきたのか?」
「ううん、国語がまだ。でも自信あるから大丈夫!赤点じゃないよ!」
「そうか。やったな」
「うん!うん!キョータありがとう!」
廊下の真ん中で抱きしめ合い、額をくっつけて笑い合う二人の男女。
臆面もなく密着するその様子に、周囲は騒然となる。
「な、なんだぁお前ら!教室の前でいちゃついてんなよ!」
「キャー!亜岡君って意外に大胆なんだ〜!」
「あの子よくうちの教室来るよね?やっぱ付き合ってたんじゃん!」
冷やかしやヤジ、歓声等が上がっても、二人は構わず互いの身体を抱きしめ続ける。
「今回は良かったが…次からはちゃんと試験日程も気にしろよ?」
「うん!もう朋ちんを鬼神にさせたくないしね!」
「ああ…朋絵は凄かった…」
「ね!おかげで赤点免れたよ!」
二人は更にギュッと抱き合う。
何だか見ている周りの方が恥ずかしくなり、冷やかしの声も段々と弱まっていく。
見れば通行人も、二人の横を通る際1mは距離をあけていた。
「頑張ったな、静弥」
「キョータも勉強教えてくれてありがとう!えへへっキョータ大す…」
「はい、そこまで!」