創作
□あおぞら六重奏〜解放!さあ飛び立とう!〜
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「判らない?高校生にもなって?
今の二人の言動は只のウザイバカップルなんだよ」
「やだな〜ヨッシーってば!ボクとキョータは大・親・友!だよ。
そんな、カップルとか鳥肌立っちゃうよ」
「二人をよく知らない人からだと、そうとしか見えないって事。少しは周囲の目を気にしなよ」
「そんなの気にしてたらキョータとくっついてらんないじゃん!」
「くっつくなって言ってんだよ!」
要するにヤキモチか。
傍観に徹するクラスメートの視線が一気に生温くなった。
あからさまに放たれる祥生の嫉妬だが、矛先の二人にはいまいち届いていないらしい。
静弥はハテナマークを飛ばし続け、京太郎はお馴染みの無表情を保ち続ける。
あっさり察してしまった周囲とはえらい違いだ。
整った容姿のため、祥生はよく女子から秋波を送られているのだが…今は同情や労りの念を送られている。
哀れを誘うその様子に、男子からの好感度がちょっと上がった。
「ボクとキョータの絆は強くてぶっといんだぞ!5歳の時からず〜っと一緒だったしね」
「っ…でも、そんなの関係ないね。僕と京太郎が親友になった事件に、静弥は関与してないし」
「むっ…でもでも!ボクとキョータは『心の準備が出来るまで、傍にいる』って約束した仲なんだぞ!」
「はあ?何ソレ。僕なんて京太郎に『お前が生まれてきた事を、他の誰よりさいわいに思う』って言ってもらってるんだよ」
…何だか話の流れが可笑しな方向へ転がっている。
一人の男友達を巡り、二人の男女が争う。
どんな状況だ。
ギャラリーが受ける混乱は増すばかり。
特に平時の祥生を知る生徒ほど、混乱の度合いが大きいようだ。
いつも人を喰ったように飄々としている、あの祥生が!?と。
だが渦中の人物・京太郎は至極冷静であった。
「通行の邪魔になるから」と零し、白熱する二人をさり気なく壁際へと促している。
ケンカのネタになっているという自覚が欠片もないのか。
はたまた、こんなケンカはいつもの事なのか。
京太郎は茫洋とした瞳のまま、目の前の二人を眺め続ける。
異様な光景に周囲が戸惑っていると、一人の勇者が現れた。