創作
□あおぞら六重奏〜解放!さあ飛び立とう!〜
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「ふふ。やっぱり静弥ちゃん、京太郎ちゃんの所に来てたのね」
「朋絵」
現れたのは学園のマドンナ、朋絵だ。
純和風な美貌とお淑やかな言動は正に大和撫子。
そんな朋絵が微笑みながら登場した事に、見物人(主に男子)から歓声に似たざわめきが広がる。
「あ、朋ちん」
「朋絵?」
声に反応し、静弥と祥生は口論を中止して顔を向けた。
二人の視線の先では、朋絵が楚々とした微笑みを浮かべている。
「二人とも。仲が良いのはいいけれど」
「朋ちんごめんストップ!今手が離せないんだ!」
朋絵の言葉を手で遮り、静弥は再び祥生に向かってまくし立てる。
「例え性別が違っても、キョータの一番の親友はボクだ!」
「勝手に一番を名乗るなって何回言えば判るのさ。京太郎との絆は僕にだってある」
「ボクは何度もキョータに命を救ってもらったんだよ!」
「僕だって。誘拐されかけた時、助けてくれたのは京太郎だよ」
とんでもない過去がさらりと明かされ、周囲に衝撃が走る。
「え、それ、マジな話…なの?」
「ドラマかよ!どんだけハードだ幼少時代!」
そんな困惑や動揺が空間を支配しても、台風の目はいつだって穏やかなもの。
京太郎は無表情のまま軽く相槌を打つだけで、取り乱す気配は微塵もない。
「ねえ、京太郎ちゃん」
例えマドンナに顔を寄せられても、全く動じない。
頬どうしが触れそうなほど接近されても、京太郎はピクリとも反応しない。年頃の男子である筈なのに。
いくら幼馴染とはいえ、それは男としてどうなんだ?羨ましい、代われ!とは、不特定多数の男子の心の叫びだ。
「何だ?」
「二人のケンカを止めて、尚且つ私の為にもなる奇策を思いついたの」
「?」