創作
□あおぞら六重奏〜とある昼休み〜
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麗らかな陽射しが心地よい昼下がりに、男子生徒の絶叫が響いた。
「弁当忘れたー!!」
某県立高校は、本日も平和な昼休みを迎えていた。
先程、校舎中に響き渡らんばかりに叫び声を上げた男子生徒は、現在机に突っ伏していた。
「おお…俺のうっかりボーイ…」
「意味分かんないし。大袈裟すぎよ勝太」
嘆く男子をバッサリ切り捨てた女子は、アーモンド型の目を細め、呆れたように溜め息をついた。
「ほら、さっさと起きて購買行ってきなさいよ!早くしないとなくなるわよ?」
「…それがさ、恵子…本日の俺はサザエさんでカローラUだから…」
「は?」
「財布忘れた…」
勝太の呟きに、恵子と呼ばれた女子は「バカじゃないの!?」と、もはや口癖と化した台詞を吐き出した。