創作

□あおぞら六重奏〜とある昼休み〜
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「と、いうわけで」

場所を教室から校舎裏に移し、勝太と恵子は他クラスの友人達と昼飯を囲んだ。
高校の周囲に高い建物がないせいもあり、校舎の裏側でも、この時間帯は陽光が遮られることはない。
むき出しの地面にピクニックシートをひき、4人の少年少女が円形に座している。

「あはは!さすが勝っちゃん、お約束だね!」
「災難だったね、勝太ちゃん」

勝太の現状を聞き、二人の女子生徒はそれぞれ反応を返す。
項が見えるほど短い髪の女子は明るい笑い声をたて、肩まで伸びた艶やかな黒髪の女子はおっとりとした声で同情の意を示した。

「朋絵、同情しなくていいんだからね。静弥みたいに笑い飛ばしなって」
「お前、俺に容赦ないよな…」
「そんなことより京太郎と祥生は?」
「ホント容赦ないよな!」
喚く勝太を流した恵子は、いつものメンバーが欠けている理由を尋ねた。
それを聞き、「ああ」と静弥が頷いた。

「さっき授業で使った地図帳を片付けに行くから、ちょっと遅れるってさ」
「ああ…社会科係になったって言ってたっけ」

そういえば、と恵子は呟いた。
先日各クラスで行われた係決めで、京太郎と祥生は揃って社会科の係に就いたらしい。

どんな係でもいいから、京太郎と同じ係になりたいと主張していた祥生の顔が、4人の脳裏に蘇る。
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