創作
□御伽噺異伝 参
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桃太郎と浦島太郎が歩いていると、どこからか甲高い悲鳴が聞こえました。
驚いた二人が周囲を見回すと、それはどうやら川から聞こえてくるようです。
何かと思い川面を覗き込めば、小さな物体が水しぶきを上げて流れてきました。
その姿を視認し、二人は再び驚きます。
なんと人の形をしているではありませんか。
「ずいぶん小さいが、あれは人間か?この川に住んでいるのか」
「違う、溺れているんだよ」
浦島太郎は慌ててそれを掬い上げました。
浦島太郎の両の掌に乗る、ずぶ濡れの物体。
間近で見ても、やはりそれは人間のように思えます。
ただ、その背丈は驚くほど小さいものでした。
浦島太郎が恐る恐る声をかけると、ぐったりとした声が返されます。
「か、かたじけない…」