創作

□御伽噺異伝 肆
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日が暮れてすっかり暗くなった山道を、二人の人間が歩いていた。
一人は、桃から生まれて鬼に育てられた桃太郎。
もう一人は、竜宮城を訪れた為に時を越えた浦島太郎。

真に奇妙な体験を持つ二人は、崑崙山を目指して旅をしていた。
どこにあるとも知れない幻の山を目指し、二人は気ままに旅を楽しんでいる。

「この山は崑崙山かな?」と浦島太郎が尋ねれば、
「桃の木がない。だから違う」と桃太郎は答える。

「中々着かないね」と、焦る様子も見られないまま、朗らかな会話が続いていた。


今夜は野宿か。そんな話題が出た時、桃太郎がぴたりと足を止めた。

「どうかした?」と声をかける浦島太郎に背を向けて、山の斜面を見上げる。
自分達が歩いてきた途と、垂直に交わる方角を見つめる桃太郎を不思議に思い、浦島太郎も彼に習って視線を向けた。

「人の子だ」

桃太郎が呟いた時、浦島太郎の耳に慌ただしい足音が届いた。
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