創作

□あおぞら六重奏〜三つ子の魂いつまでも〜
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「京太郎と静弥って付き合ってたか?」
「付き合ってないよ」
「なんで祥生が即答!?」
「まあ、事実だしな」

 下校時刻。
 勝太、祥生、京太郎の3人は、並んで家路についていた。

 今日は土曜日のため授業は午前中に終了し、部活動もなかった。
 「なら一緒に帰ろう」と誰彼ともなく集まって、3人揃って帰宅している。

 ちなみに幼馴染の女子陣は「たまには女だけで」と言って、仲良く街へ出かけて行った。

「クラスのやつらとかが話しててさー」
「二人が付き合ってるって?」
「そんな感じの話」
「それが本当だったら僕が黙っていないよ」
「姑かっ!」

 スパッと右手でツッコミを入れる勝太だが、ボケの祥生はそれを避けて笑う。

「でももっと黙ってない人がいるでしょ」
「え?誰かいたか?」
「静弥のお兄さん」
「あー…な〜る…」
「健時兄…」

 にっこり笑顔の祥生の答えに、勝太と京太郎は遠くを見る。

 静弥の歳の離れた兄・健時(けんじ)は、たった一人の妹を溺愛している。
 彼は可愛い妹に近付く虫を、鍛え上げられた肉体でもってことごとく叩き落としてきた。

 過去の武勇伝を幾つも知る京太郎達は、遠くにやっていた目をそっと伏せる。

「確かに、京太郎が静弥と付き合ってたら…」
「俺は今ここにはいないな…」
「どっかの病院に入院中かもね」

 ははっと笑う祥生に、二人は笑い返すことが出来なかった。
 勝太は空を仰ぎ、京太郎は溜め息を零す。

「シャレになんねー!」
「俺と静弥がずっと一緒にいたのは、そういう感情が全くなかったからなのにな…」
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