創作

□あおぞら六重奏〜三つ子の魂いつまでも〜
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 幼馴染6人衆の中でも、特に京太郎と静弥は四六時中行動を共にしていた。

 互いを自身の片割れと断言するほど、二人は同じ時間を共有してきた。

 が、そこに恋愛感情は皆無であった。

「昔はもっとベッタリだったから、今程度で噂になるのが逆にビックリだよ俺は」

 小学生時代、知り合った当初の二人の様子を思い出して、勝太はふん、と鼻をならす。

 手を繋いだり抱き付いたりはデフォルトで、毎日一緒に下校するのも当たり前。
 お互いの家に泊り合うのもしょっちゅうで、お風呂も一緒、寝るのも一緒だったという。

 今はお泊りも減ったらしく、休み時間を別々に過ごすこともままある。
 静弥が京太郎に飛び付く回数も格段に少なくなった。

 勝太から見れば、二人の距離は物理的に大きく開いてきた。

 勝太の内心を読取り、京太郎は緩く肯定する。

「だな…今は昔より、お互い『体質』改善したからな…」
「そうみたいだね」
「昔はヒロシとピョン吉並だったよな、ベッタリ具合」
「ド根性具合もね」

 京太郎と静弥の関係を正しく知る、数少ない人物の内の二人が揃って相槌を打つ。
「ま、とりあえずクラスのやつらには違うっつっとくわ」
「ああ」
「いっそ本当のこと教えちゃう?」
「祥生?」
「ちょ、おい祥生」

 京太郎と静弥がくっついていた理由。それはお互いが持つ『特殊な体質』のせいだった。
 だが、その話をしたところで本気にとってくれる人はまずいない。
 そのことを祥生も分かっているはずなのに。

 どういうつもりなのか、その心情を図りかねていると、二人に向かい、祥生はキツネのように笑った。
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