創作
□暁の二重奏
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○月×日、晴れ。
お寺の庭で、男の子が倒れました。
「ええええ!?」
迷子中たどり着いた庭で、男の子が目の前でバッタリ!なんて、初めてだよボク!
「ちょちょちょっと!だいじょうぶ!?えっと、きょーきょー…キョータ?キョータ、キョータ!」
さっき挨拶したばかりだけど、よく覚えてないや。でもこんな名前だったと思う。
「…」
肩を揺さぶっても、何も言わない。
半分しか開いていない瞼の奥にある瞳は真っ黒だった。
息、していない…?
「うわーん!死んじゃヤダーー!!」
もの凄く怖くなって、キョータの身体を起こしてギュッと抱き締める。
ボクの心臓のドコドコが、この子にも移りますように。
かみさま、ほとけさま〜!と、強く願った。
キョータの目がしっかり開いて、お母さん達が駆け付けるまで
ボクはキョータの頭をずっと抱えていた。
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