創作

□暁の二重奏
1ページ/3ページ


 ○月×日、晴れ。
 お寺の庭で、男の子が倒れました。

「ええええ!?」

 迷子中たどり着いた庭で、男の子が目の前でバッタリ!なんて、初めてだよボク!


「ちょちょちょっと!だいじょうぶ!?えっと、きょーきょー…キョータ?キョータ、キョータ!」

 さっき挨拶したばかりだけど、よく覚えてないや。でもこんな名前だったと思う。

「…」

 肩を揺さぶっても、何も言わない。
 半分しか開いていない瞼の奥にある瞳は真っ黒だった。

 息、していない…?

「うわーん!死んじゃヤダーー!!」

 もの凄く怖くなって、キョータの身体を起こしてギュッと抱き締める。

 ボクの心臓のドコドコが、この子にも移りますように。
 かみさま、ほとけさま〜!と、強く願った。





 キョータの目がしっかり開いて、お母さん達が駆け付けるまで



 ボクはキョータの頭をずっと抱えていた。


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ