創作
□あおぞら六重奏〜解放!さあ飛び立とう!〜
2ページ/9ページ
祥生は予測が当たった事を確信し、面白くなさそうに唇をひん曲げた。
「…ォータァー…!」
勢いが止む気配の無い足音と共に、女子の叫び声が廊下に響く。
その声に京太郎は一度手を打ち、腰を落として両手を広げた。
事態を把握できないクラスメートの内、数名が廊下へ繋がる扉へ近付く。
そして京太郎の視線を追った瞬間…
「キョーターー!!」
黒い物体が弾丸のように京太郎へとぶち当たり、その場で彼ごとグルグルと回転した。
「亜岡ぁ!?」
「きゃあっ!な、何?大丈夫!?」
一瞬の内に起きた衝突事故に、周囲にいた生徒達が蒼然となる。
教室にいた担任や生徒も慌てて扉へ駆け寄った。
そんな中、またもや祥生だけが周囲と異なる反応を示す。
「やっぱり…周りの迷惑になるってのにさ」
短く溜め息を吐き、返されたばかりの答案用紙を鞄へ突っ込む。
そうして人垣をかき分け、教室の後ろ側の扉から廊下に出た。
その頃には回転速度も弱まり、ひらりひらりと紺色の布が揺れているのが視認できた。
「本当に…」
大きく息を吸い、紺色の布――スカートの主諸共京太郎を睨みつけ、キッパリと言い放つ。
「京太郎は、静弥に甘い!」
回転が終息する間際、京太郎に抱き付く静弥のスカートがふわりと翻った。