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□心の奥の《後編》
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いぶかしむ三人を引き連れてウェラー卿は城内のある一室へと向かった。

「コ、コンラート・・・もしや・・・」
「ご明察。はい、到着」
「ここは・・・」

「アニシナさんの研究室ーーーーーー!!?」

鷹揚に頷くと、彼は躊躇いもなく扉を開く。
何故か立てつけの悪い扉が開かれる音に、ギュンターは今にも逃げ出さんばかりに顔に冷や汗を浮かべた。

「大丈夫か、私のギュンター?」
「はひっ陛下、ありがたき幸せ・・・」
「残念だけど・・・」

ギュンターに張り付いている有利の気遣わしげな言葉に、ギュンターが感動の汁を吹き出す。
それに別の有利が引き攣っていると、やんわりと制止しウェラー卿は言った。

「それはユーリじゃないよ。そうだろ・・・」

開かれた扉の先にいたのは・・・

「アニシナ」
「おや。思っていたより早いですね」

赤い悪魔。眞魔国三大魔女の一人、その名も毒女アニシナ。
唖然とする面々を気にするまでもなく、彼女は高く結い上げた赤い髪を振り、びしりと指を突き付けた。

「ではまず感想を!」
「かか、感想って、これはいったい・・・」
「どういうことだ?おい、ウェラー卿!」
「どういうも・・・こちらのユーリは本物じゃなくて、アニシナの研究の成果だったということだよ」
「「何(んですって)ーーーーー!!?」」
「そういうことです!以前陛下からニジャァという者が使うという分身の術と臣下の本音『そこんとこどうなのよ』を調べる事を兼ね備えた傑作予定品!略して・・・」
「ちょっと待て!!つまり、このユーリは偽物だというのか!?」
「嘘でしょうアニシナ!こちらの陛下は誰よりも陛下らしいお方で・・・」
「そこです!」

またもやぴしりと指を突き付けられ、男二人は言葉を詰まらせる。

「この魔道具の素晴らしい点は臣下の本音『そこんとこどうなってんの』を調べる事が出来る事です!
つまり、臣下が陛下に対して日頃どのような理想を抱いているかが克明に分かるのです!」
「え・・・?」

戸惑う男達の中で、唯一人現状にしっかりついていっているウェラー卿が解説を加えた。

「つまり、自分が密かに『こうだったらいいのになぁ』と考えている性格になるよう作られた人形・・・魔道具だった、と。そういうわけだろう?」
「その通りです!」
「・・・何だとーーーーー!?」

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