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□螺旋を描いて沈む夢
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俺なりに、考えてみたんだ。
自分と相手との力の差。
力っていうのは、何も剣の腕前の事だけじゃない。それは発言力だったり、周囲からの信頼・信用だったり、賢さとか、まあ、色々だ。
それらを総合的に鑑みて、俺とあの人との力の差は歴然だった。
「力の差が歴然だな」とは、戦闘勝利時のガイの台詞だ。イラッときたので、頭の中から即追いやる。
こんな八つ当たりじみた真似をしてごめんな、記憶の中のガイ。
「ルーク?どうしました?」
そんな馬鹿げた思考を頭の中で展開させていると、隣を歩くイオンから心配げな声をかけられた。
肩の辺りで揺れる緑の髪を視界に捉え、俺は現実へと意識を引き戻す。
「ああ、いや、何でもねえよ」
「そうですか・・・?」
先程の思考回路を悟られぬよう、左手を顔の前で振って見せた。頬が引き攣っている気がする。上手く隠せていればいいけど。
そんな俺の心情を察したのか、こちらを見上げるイオンの瞳には未だ心配や不安といった感情が浮かべられている。
そう、不安、なんだよな。
自分が、いや、自分達が置かれている現状に改めて目を向ける。
途端に足がヘビーブーツを装備した時のようにずうんと重くなり、剥き出しの臍の奥にある胃がキリキリと痛む。
この先の展開までにも考えを巡らせれば、頭はガーゴイルに殴られたかのようにガンガン響いた。
アッシュからの便利連絡網を受け取った時もかくやといった痛み様は、そのまま俺の精神を表しているのだろう。
簡潔に言おう。
嫌だ。進みたくない。行きたくない。