短編@

□王子と姫の恋物語
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定食を食べ終えて特殊部隊事務室に戻り、今日の業務をこなしていると、なぜか柴崎が来た。



「え、柴崎何でここにいるの?」

「いやー、面白い発言を聞いちゃってねー」

「え、何?」

「さっき手塚が言ったことよ」



そう言うと柴崎はニヤリと笑った。
この笑みは何かしら良くない事の起こる前兆である。

私が身構えると柴崎はさらりと言った。




「だから…『堂上一正が王子様なら、さしずめ三正のお前は王女様かな』ってやつよ」



それを聞いていた堂上は固まり、小牧は物凄い勢いで吹き出した。




「しっ…柴崎いィィ!!」

「何でお前俺の言ったこと…!!」

「あんたら私を誰だと思ってるの?」

「「…」」




私達が言葉を失ったそのすきに、小牧が笑いを必死に噛み殺しながら言った。



「あー…でも笠原さんは王女様よりお姫様って感じかな?」

「ちょ、小牧教官!!」



私が慌てるのを見てまた上戸に陥った。




「ふー、笑いすぎたね。そろそろフリーズしてるあいつを解凍しないと」



見ると堂上はまだ固まったままである。



「ど、堂上一正…?」



手塚が恐る恐る話し掛けてみるが、反応が全く無い。



「やっぱりここはさー、」



そこで柴崎はこっちを見て微笑んだ。




「笠原が目覚めのキスを…「柴崎いィィ!」…やってくれないの?」

「やる訳ないでしょこんな所でッ!」

「へー、じゃあここじゃなければするんだ」

「え、違ッ…!」

「でもマジで堂上固まってるよ?」

「…堂上一正がいないと仕事が終わりません」

「え、ちょッ…小牧教官と手塚まで…!?」

「じゃあ目覚めのキスはいいからさ、『私の王子様』ってあの時のように呼んでみてよ」



小牧のその言葉に、郁は恥ずかしさで頬が紅潮するのが分かった。

…私って、本当にとんでもない発言をしてたんだ。

今さらだけどそう思う。
堂上はそれをどんな気持ちで聞いてたんだろう。
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