短編@

□奇妙な関係
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「何処から何処までが上司と部下の関係なんだろう…」



無意識に呟いたその言葉に、手塚は怪訝な顔をした。



「お前、…また何かやったのか?」



そう言われて自分が心の中で思っていたことを口走ってしまった事に気付く。



「え、いや、なんでもない!」



言いながらも周りを見渡す。
どうやら手塚にだけ聞こえていたようだ。



「…何かやったのなら今のうちに堂上二正に言っておいた方がいいぞ」

「だから何で私が何かやらかした事になってんのよ」

「お前がいつも何かやらかすからだろ」

「アンタまじでいつか殺してやる」



そのやり取りを聞いていたのか、小牧が吹き出す。



「ちょ、…そのやり取り、休憩の時にやってくれない?面白過ぎて集中できないから」

「小牧教官、かなり失礼な発言じゃ…!!」

「何だ笠原、お前また何かやらかしたのか?」

「ちょ、堂上教官まで―――!!」

「ごめ、もう限界…あはははは」

「小牧教官笑うなッ!!」



小牧に言ってみるが、笑いが収まる様子は一向になく、やがて堂上が諦めたように「休憩にする」と言った。



「…で、笠原さんどうしたの?」



私がコーヒーを入れようと部屋を出ると、いつのまにか小牧が後ろにいた。



「小牧教官…」

「さっき、『何処から何処までが上司と部下の関係なんだろう…』って呟いてたよね?」

「え!?それ聞いていたんですか!?」

「うん。…多分堂上には聞かれてないと思うけど」



その言葉に安心する。
もしさっきの呟きが堂上に聞こえていたらと思うと…



「…恥ずかしすぎて言えません」

「そんなに恥ずかしいことを堂上はしてるの?」



その言葉に顔を上げると、小牧は楽しそうに笑っていた。
…完全に遊ばれているのがわかる。



「そ、そういう事じゃなくて…」

「じゃあどういう事かな?」



小牧はいたずらっぽい笑みを浮かべてこっちを見ている。



「…何でもありませんッ!」



それだけ言うと逃げるようにして部屋に戻った。
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