短編@
□夢が詰まった闇鍋パーティ
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「篤さん、闇鍋パーティーしません?」
いきなりすぎる郁の発言に素で「は?」と言ってしまった。
「本読んでたら面白そうだと思って…駄目ですか?」
「いや、駄目じゃないが…」
「じゃあ早速皆に連絡しましょう!」
そう言うと郁は物凄い早さで携帯を使い始めた。
「ちょっと待て、お前いくら何でも…」
止めようとする俺を全く気にしず、「やった!」と喜んだ。
「篤さん、全員OKです!!」
それだけ言うと郁は大きな鍋を取出しに行った。
「…本当にお前、闇鍋って意味知ってるのか?」
心配そうに聞くと、郁は満面の笑みで振り向いた。
「知ってますよ!部屋を暗くしてそれぞれが持ってきた物を一緒に煮込むんですよね!」
「……ああ」
返事をしてため息をつく。
ピンポーン♪
チャイムの音が鳴ると、郁が玄関に行く。
「早いですね…てか全員揃ってませんか?」
「ちょうど近くで会ってね」
俺が玄関に行くと、そこには大きな荷物を持った小牧夫妻と手塚夫妻がいた。
「こんばんは、堂上」
「お邪魔しますねー」
そう言いながら部屋に向かった。
+++
暗闇の中、闇鍋パーティーが始まった。
「そろそろ出来ましたかね?」
「んー…やっぱり灯りがないと見えないね」
「駄目ですよ小牧教官!暗闇でするのが闇鍋なんですからッ!」
「じゃあ…誰かが毒味しないとね」
その発言に固まる。
「普通ここは発案者だろ」
手塚が言うと柴崎も頷く。
「私達はお客さんだし?」
「わ…私!?」
郁が慌てる様子が伝わってきて、またため息をつく。
「…それとも堂上が笠原さんの為に毒味するのかな?」
「「なッ…!」」
「さっすが夫妻、反応まで同じなのね」
「し、柴崎!」
「…分かった、俺が食べる」
俺が諦めたようにそう言うと、郁が慌てて言った。
「私が食べますッ!責任は私にあるはずですしッ!!」
「いい。俺が食べる」
そう言うと何か分からないものをすくって自分の皿にいれる。
「駄目です篤さん!お腹壊したらどうするんですかッ!?」
「その時はその時だ」
「ちょ…駄目ですって!」
郁が止めるのを無視して皿に入っているものを食べる。
「……」
「あ、篤さん…?」
「…堂上!?」
「……」
「誰か電気つけて!」
「…大丈夫だ」
俺が口を開くと皆の動きが止まる。