短編@

□溢れる気持ち
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どうやら自分は独占欲が強いらしい。
そう思ったのは最近のことだ。

…まぁ前から小牧に言われていたので何をいまさら、という感じなのだが。



「…笠原」

「何ですか、教官」

「こっちの仕事も頼む」

「えー、またですか…」

「苦手な仕事は人の何倍もする事が大切なんだ」

「分かってますよ、でも多すぎ…」



ぶつくさ言いながらも仕事をこなす郁。
前よりは大分マシになったはずだ。

さっき名前を呼んだのは仕事を頼む為では無い。
本当はただなんとなく呼びたくなっただけだ。



「公私混同はダメだよ、班長」

「…分かってる」



だから、小牧の正論には返す言葉がない。
小牧は笑いながら頑張って、と小声で言った。

…言われなくとも分かっている。
でも、この感情だけはどうすることも出来ない。
蓋をしたはずの感情が、気持ちが、溢れだす。
一度外れてしまうと止まらなかった。
結婚しても、その感情は留まる事を知らず、今もなお、溢れ出ている。

いったいどうしたものか、とため息をつく。



[溢れる気持ち]




(誰か、この感情をどうにかしてくれ)



御題元・Silence

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