短編①
□リセット
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さっき小牧教官に言われたことを自分の頭の中で再生する。
『王子様だったから、じゃなくて堂上を見てやって。笠原さんが入隊時から角突き合わせて喧嘩三昧で融通の利かない厳しい上官だった堂上を見てやって』
今の私では、きちんと堂上教官自身を見ることはできない。
それほど、手塚慧の手紙に書かれていた事は衝撃が大きい。
だって、私を助けてくれたあの王子様に憧れて図書隊を目指し努力を続け、今も少しでも立派な図書隊員になろうと努力しているのに。
その王子様が堂上教官だったと言われて驚かない訳がない。
とにかく、このままでは先に進めない。
堂上教官自身を見れない。
ならどうすればいい?
混乱している頭を必死で働かせ解決策を考える。
――0に戻そう。
ちゃんと堂上教官の部下であることに努めよう。
それがきっと、今の堂上教官を見るということに繋がるから。
〔リセット〕
御題元・Silence