短編B
□聖なる夜に
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「麻子、メリークリスマス」
そう言って照れたように笑う彼は我が夫、光。
「後ろ向いて、目をつぶれ」
言われるがままに後ろを向き目を瞑ると、胸元に何か冷たいものが触れた。
「もう良いぞ」
目を開けるとそこには、ハートをモチーフとした可愛らしいピンクゴールドのネックレスがあった。
これを仏頂面で選んでいる光を想像して笑いそうになるが我慢。
「ありがと、光。はいこれ」
「…開けていいか?」
「どうぞー」
恥ずかしくなってきて、少しふざけた口調になる。
彼へのプレゼントは、時計。
普段も使えるような少しごつめの物を買った。
「ありがとう。大事に使う」
「うん。…なんかお互い柄じゃないわね」
「まぁな。でもたまには良いんじゃないか?」
「そうね。じゃあ、」
言葉を切って彼に抱きつく。
「うわっ」と慌てた声を出しつつもがっちり受けとめる辺り、さすが戦闘職種。
「お前…」
「たまには良いんでしょ?」
そう言って笑うと、彼も笑う。
「クリスマスだし、今日は存分に甘えるわ」
「普段も甘えてほしいけどな」
〔聖なる夜に〕
(調子にのらないのー) (とか言いつつ擦り寄ってくるとか、お前ずるい)