短編B

□ワンサイドゲーム
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ふと目が覚めた。
近くにある置き時計を手にとる。
4:21
再び寝ようと時計を置いて布団をかぶりなおしたものの、なかなか寝付けない。
静かに寝返りをうち、篤さんの方を向く。
規則正しい寝息にどこか安心し、笑みがこぼれた。

彼の顔を見ていると、唐突に――本当に唐突だが――キスをしたくなった。
いつも私が一方的に負けてる気がして、今なら勝てる気がした。
…何の勝負かは知らないが。

手を彼の頬に添える。
顔を近付ける。
あと3cmというところで。
…駄目だ、恥ずかしい!
耐え切れず離れようとする。



「…しないのか?」



…はい?
今、喋った…?



「しないのなら、」



後頭部に手が回される。
ばっちりと目が合う。
彼は笑って言った。



「俺がする」



そして私はいつものように唇を奪われたのだった。



〔ワンサイドゲーム〕

御題元・Silence


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たまには王道だっていいじゃないか。
ちなみに
ワンサイドゲーム:一方が終始圧倒的優位を続け、勝利に終わる試合。
という意味です。

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