短編・御礼

□日常の幸せ
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目が覚めるとそこは大好きな人の腕の中で。
でも、いつもと違うのは目の前の夫の目が開いていないこと。
恋人の時も結婚してからも、あたしが篤さんより先に目を覚ますことはほとんどなかった。
あったとしても、すぐに篤さんも目を覚ましてしまう。
だから……こんなにじっくりと寝顔を見れたことなどなかった。


「―…意外と寝顔、子供っぽい」


思わず呟いてハッとする。こんな機会なんて滅多にないのに、自分で壊してどうする!
少々びくつきながら篤さんを見るが、起きてる気配はない。
―職業柄、気配に聡く普段少しの音でも起きてしまう(夜の検閲奇襲の時に起きられないなどとんでもないが)
なので、これだけあたしが動いても起きないのは
よっぽど疲れている、もしくは……あたしだと安心する、ってことでいいのかな?

―やばい、
思わずニヤけそうになるのを堪え、もう一度篤さんの顔を見る。


眉間の皺がない顔はレアだ。
…意外と睫毛長いなあ。
顔も整っている、というかカッコイイよね。
あー、本当あたしこんなカッコイイ人が夫だなんて贅沢だなあ。
家事もこなせるというかあたしより上手いし。
ずっと追いかけている背中は、相変わらず大きくて全く追いつかない。
やっぱり、好きだなあ

…なんてことを考えていたら、「随分と楽しそうだな、奥さん」と篤さんが笑いながらキスしてきた。



「ってええええー!?」
「…朝から元気だな、お前は」
「何で!?いつから!?」
「とりあえず寝顔はお前も十分子供っぼいぞ」
「最初っからかよ!!」
「まったく。キスの一つでもしてくれると思ったら…。人の顔みてニヤニヤしやがって。」
「に、ニヤニヤしてない!!」
「してたしてた。で、何を妄想してたんだ?」
「妄想なんかしてないから!!ただ、篤さんカッコイイなあって…!」

言ってから後悔する。
…あたし何言っているの!?恥ずかしっ!!
篤さんは……


「…お前、その直球を直せ。心臓が持たん」


頬を少し紅く染めていた。


「篤さん照れてるー。可愛いー」
「お前にだけは可愛いと言われたくないな。」
「事実だもん」
「……お前の方が何十倍も可愛いわ、アホウ」
「なっ!?」
「そうやって今だに真っ赤に頬を染めるところも可愛いぞ」
「っ、篤さんのばか!!」
「それもお前に言われたくないな」
「もう知らないっ」


拗ねた声を出し、ベッドから出ようとしたら……引き戻され、押し倒された。


「なっ!?」
「まあそう拗ねるな。せっかくの公休日だ。夫婦の親睦を深めないでどうする。」
「知るか!!…ってまさか本気!?キャー!やめてえ!!」
「諦めろ」




拗ねた奥さんにケーキを買いに行くまで、あて数時間。








――――――――――

相互記念小説です。
詩音の想歌の美羽さんに捧げます!

本当に管理人は美羽さんの書く小説が大好きで、何度悶えたことか…!

遅くなってしまった上にこんな出来ですが、いかがでしょうか。
何かありましたら返品・交換受け付けますので…!
相互ありがとうございました!

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