短編@

□真冬の向日葵
1ページ/1ページ


仕事の帰り道、息を吐くと白かった。

…本当に寒くなったな。

そう思ってからはっとする。

俺ももう年なのか?
去年はこんなふうに感慨にふけることもなかったはずだ。

そんな事を考えていると、急にマフラーを巻き付けられた。
不意討ち、だった。



「うわッ!何だ急に!?」

「だって篤さんが寒そうだったから…」



そう言うと彼女はニコリと笑った。



「それに私も寒かったし、こうすると一石二鳥ですよ!ね?」



彼女が笑う。
それだけで俺は温かくなる。
不思議と、寒さも感じられなかった。



「…ったく、お前は…」

「エヘヘ」



笑った顔は、向日葵のようで。
こんな季節に咲く向日葵もいいもんだ、と思った。



「郁、向日葵の花言葉って何だ?」

「え?何ですか急に」

「ただ気になっただけだ」

「えーっと、確か…『あなただけを見つめる』だったと思うんですけど…」

「クッ…!!」

「え、ちょ!何で笑ったんですか!?」



[真冬の向日葵]



((あまりにもピッタリすぎて、思わず笑ってしまった))


御題元・Silence
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ