短編@

□心拍数#0822
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俺の心臓が止まる頃には、きっとこの世を満喫し終わっていると思う。
やり残したことなんにもないくらい、君の隣で笑い続けていたと思う。



「篤さん!」

「ん?」

「またそんな渋い顔して…ほら、笑って!」

「…すまん、無理だ」

「ええ!?せっかく写真撮って貰うのに…」



この胸が脈打つうちは君をまだ守っていたい。
生きる意味なんてそれでいい。
もう一つ、もう一つと同じ涙を数えて、俺たちはまたお互いを知る。



「簡単には守らせてくれないが、な…」

「何か言いました?」

「いや、なんでもない。ほら行くぞ」

「はい!」



高鳴る鼓動が伝えてく、重なる音と流れる想いを。
もう離さないと約束しよう、いつでも君が寂しくないように。



「篤さん待ってー!」

「お前、いつの間にそんな所に…」

「だって人混みが…!」

「ほら、手出せ。…絶対離すなよ」



俺の心臓は一分間に、70回の「生きている」を叫ぶ。
でも君と居ると少し駆け足で、110回の「愛している」を叫ぶんだ。



「うわっ!」

「郁!?」

「あのー、篤さん…恥ずかしいです…」

「お前が階段で躓くからだろうが!」

「…心臓の音、滅茶苦茶早いですよ?」



俺と君が出会えたことに何か理由があるとするならば、運命かは分からなくても嬉しいことに変わりはないだろ。



「…うるさい」

「へへ…なんか嬉しいな」

「…そんな顔するな」

「どんな顔ですか?」



いつか俺をやめるときまで、あと何度「好き」と言えるのだろう?
ここに居られることに感謝しよう。
ただ生きていることにありがとう。



「郁…」

「何ですか?」

「ありがとう」

「…急になんですか?!私何かしでかしましたか!?」

「そうじゃない!…ただ言いたくなっただけだ」



高鳴る鼓動が伝えてく、重なる音と流れる想いを。
愛し続けると約束しよう、心臓が止まってしまうまで。



「…私こそ、ありがとうございます」

「あぁ。…愛してる」

「…私も、です!」



→あとがき
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