短編A
□第二ボタンのジンクス
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久々の休日に、家で2人掃除をしていると、突然郁が聞いてきた。
「篤さんって高校の卒業式のとき、誰か女子に第二ボタンをあげましたか?」
「第二ボタン…ってアレか、ジンクスだったよな?」
「はい。で、あげました?」
「ブレザーだったからな…」
「え?ブレザーだと意味無いんですか?」
「普通こういう類のものは女の方が詳しいと思うぞ」
「だって第二ボタン貰うと両想いになれるとしか聞いてなかったから!」
「あー、たしか第二ボタンが一番胸の位置に近いからだったはずだな」
「だからブレザーじゃ意味がないんですかね」
そういってやけに納得している郁。
それを見て、思わず聞いてしまった。
「…そういうお前はどうなんだ?」
「私ですか?貰いませんでしたよ。…その頃には王子様を探してましたし」
最後の言葉にドキリとした。
顔が赤くなったのがバレないよう、雑巾で床を拭き始める。
「だいたい、そんなこと聞いてどうするんだ?」
「もしまだあるのなら、それを御守りにしようと思って!」
〔第二ボタンのジンクス〕
(お前は俺をどうしたいんだ…!)(ちょ、何で篤さん怒ってるんですか!?)
御題元・Silence