短編A

□最初で最後の恋
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ああ、幸せだ。
十分に乾いた洗濯物を取り込みながら鼻歌を歌う。



「…どうした、郁」

「別になにもー」

「にしては嬉しそうだが」

「まあねー」

「何だ、気になるんだが」

「フフ、内緒です」

「なんだそりゃ…」



そう言うと篤さんはまた資料を読み始める。
今日は二人とも休日だ。

しかし、篤さんにはまた隊長から押しつけられた仕事が残っているようで、今も資料を読んでいる。
私と一緒に過ごす為にあんな膨大な量の資料を持って帰って来たと思うと、自然と頬がほころぶ。

なーんか、いまだに恋してるみたい。
そう思って、ふと篤さんに聞いてみた。



「篤さん」

「何だ?」

「私以外に好きだった人、いる?」

「……いたぞ」

「ふーん」

「…ちょっと待て、何だそのそっけない返事は!?普通は嫉妬とかするんじゃないのか?」

「いやーだってさ、」



にっこりと笑う。



「篤さんが過去に何があったとしても、今は私の事を一番好きで、大切にしてくれてる事は分かってるから」



篤さんが顔をそむけた。



「あれー篤さん?」

「うるさい」

「顔赤いよ」

「うるさい!!」



[最初で最後の恋]



(もう離さないぞ)(うん、離れない)

↑御題元・Silence
 

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