短編A
□心の扉を叩いて
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今日、いきなり小牧に言われた。
「堂上、よかったね」と。
「…どういう意味だ?」
「笠原さんと想いが通じて」
その言葉を聴いて、そういや色々と言ったな、と思った。
「さすが笠原さんだね」
「…小牧、」
「俺ももう少し素直になってみようかな」
「やめろ。お前がそうなると気持ち悪い」
「気持ち悪いって酷いな」
「普通そう思うわ!」
考えた末、想いに蓋をして。
ただの上司と部下でいよう。
そう決めた。
…はずだった。
なのに、気がつけば。
俺が無理矢理蓋をしたはずの心はこじ開けられて。
その一挙一動に反応してしまっていた。
本当の感情を、
彼女が好きだという気持ちを、
抑えきれなかった。
〔心の扉を叩いて〕
(…あ、また笠原さんのこと考えてる)(…!?)
御題元・Silence