短編A

□腕枕
1ページ/1ページ


「郁、…そんな幸せそうな顔するな」

「だって、この時間が好きなんです」



貴方の体温を傍に感じ、そのまま眠りに落ちる。
微睡みの中、貴方のことだけを考えられる。

その時間が、大好き。



「ん?篤さん、」

「どうした?」



ほぼ毎日のようにしている腕枕。
だからこそ分かる、小さな変化。



「また筋肉ついた?」

「そうか?自分ではよく分からんが」

「なんか昨日よりかたい気がする」



そう言ったとき、急に眠気が襲ってきた。



「ごめん篤さん、眠い」

「あぁ。おやすみ、郁」

「おやすみなさい、篤さん」



+++



彼女の目蓋が閉じられた。
その上に唇を落とす。



「良い夢を、」



そして、俺も彼女の寝息につられて眠りに落ちる。



〔腕枕〕



((それは、至福の時間))

御題元・Silence
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ