短編A
□腕枕
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「郁、…そんな幸せそうな顔するな」
「だって、この時間が好きなんです」
貴方の体温を傍に感じ、そのまま眠りに落ちる。
微睡みの中、貴方のことだけを考えられる。
その時間が、大好き。
「ん?篤さん、」
「どうした?」
ほぼ毎日のようにしている腕枕。
だからこそ分かる、小さな変化。
「また筋肉ついた?」
「そうか?自分ではよく分からんが」
「なんか昨日よりかたい気がする」
そう言ったとき、急に眠気が襲ってきた。
「ごめん篤さん、眠い」
「あぁ。おやすみ、郁」
「おやすみなさい、篤さん」
+++
彼女の目蓋が閉じられた。
その上に唇を落とす。
「良い夢を、」
そして、俺も彼女の寝息につられて眠りに落ちる。
〔腕枕〕
((それは、至福の時間))
御題元・Silence