短編A
□ヴァンパイアと魔女
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今日はハロウィンだということで企画された仮装イベント。
内容は単純に、利用者に見える館員は仮装するだけ。
それなのに評価は良いらしく、大勢の利用者が楽しそうに見ている。
利用者が減ってきたタイミングで休憩に入ると、郁とかち合った。
「篤さん」
そう駆け寄ってくる彼女を見て頬がゆるむ。
「お疲れ。そっちはどうだ?」
「もう大変でしたよー帽子やら杖やらを取ろうとする子供が多くて。そういや手塚は包帯とられそうになってて必死で阻止してました」
なんせ包帯とられたら全身タイツ状態ですもんね、と笑う郁に右手を差し出す。
「…何ですか?」
「trick or treat.お菓子をくれなきゃイタズラするぞ」
「ええぇ!?もう子供たちに全部あげちゃいましたよ!」
そうだろうな。
こっちはそれを狙って言ったのだから。
「じゃあイタズラだな」
そう言うが早いか、自分の唇を彼女におしつけた。
〔ヴァンパイアと魔女〕
(反則、です!)(ん?もっとして欲しいか?)(違ッ…!)
御題元・Silence